2018 Fiscal Year Annual Research Report
Struggle between host defense and viral escape mechanisms
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16K08260
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
深澤 征義 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (20291130)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスと宿主の関係は、相互の生存戦略の最大化を盾に対峙し、ある面で均衡を保ちながら、清濁併せ飲む形で様々な進化を遂げて現在に至っている。まさに生命存続の攻防が表出する最前線の場と言える。 研究代表者らは、C型肝炎ウイルス(HCV)の各種受容体欠損細胞株、抗HCV受容体抗体、高感染HCV適応変異株など、HCV感染培養細胞系の解析に適した多数の独自のツールをこれまで開発してきた。これらツールを有効に利用することで、ウイルスの侵入過程、特にウイルス受容体の依存性・選択性における、宿主ーウイルス間の攻防に焦点を当てて研究を行った。 その結果、宿主HCV受容体依存性の変化したHCV-JFH1亜株が比較的容易に分離できることがわかってきた。このHCV-JFH1亜株の中には、感染受容体として新たな宿主細胞膜表面分子を利用できるようになっている株もあることも明らかとなってきた。さらに、このウイルス表現系の変化の獲得には、非常に少ないウイルス遺伝子変化(1アミノ酸変異)で十分であることもわかってきた。以上の研究成果は、宿主-ウイルス間の攻防の分子基盤の進化を考える上で、学術的な意義が大きいと考えている。また、ウイルスの宿主受容体選択性が変化することで、HCV亜株が肝臓以外にも感染する能力を獲得しうることから、依然として不明の点の多い、HCVによる肝外病変の発症メカニズムを考えるヒントとなる可能性があり、医学的な見地からも意義があるかもしれないと考えている。
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Research Products
(8 results)