2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08261
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
高橋 陵宇 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (10625510)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳がん / サブタイプ分類 / ホルモン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体(ER)の発現は、乳がんのサブタイプ分類の決定、さらには、治療薬の選択において重要な指標である。しかしながら、一部の予後不良症例(再発症例)では、ERの発現低下が確認されている。本研究では、ERの発現低下が誘導される機序を明らかにするとともに、難治背乳がんに対する新たな治療戦略の構築を目的として研究を開始した。申請者はすでにERの陰転化が誘導される培養条件を確立しており、本条件下においてER陽性の乳がん細胞がERの発現減少を示す際にどのような遺伝子発現プロファイルを示すのかを検討した。また、これと並行して免疫不全マウスを用いて、ER陽性の乳がん細胞が形成した腫瘍内においてER陽性と陰性の2種類の細胞が存在するかを検討した。 前者の発現解析の実験から、ER陽性の細胞株おいて、ERの発現が低下が確認された際に変動する遺伝子群を明らかにすることができた。これらの遺伝子群が腫瘍形成のどの段階で変動を見せるのかを後者の動物実験で解析し、ERの発現変動が乳がんの悪性化にどのように影響するのかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項目で述べた通り、平成29年度の研究計画に沿って本研究は推進されており、実際の乳がん症例で報告されているERの陰転化が、培養細胞レベルでも観察された。また、それに伴い変動する遺伝子群もマイクロアレイによる解析から同定することに成功している。現在、動物モデルを用いて乳がん細胞が腫瘍を形成する際のERの発現を評価できる実験系の構築にも着手できている。以上のことから、本研究は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までにERの発現変動を観察できる実験系を構築できたので、本実験系にER応答エレメントをもつレポーターシステムを利用することで、単一細胞においてERの陰転化が誘導されるのか、または、最初からER陰性の細胞が存在するのかを検討する。また、乳がん細胞だけでなく、ヒト正常乳腺細胞を用いても同様の解析を検討する。
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Causes of Carryover |
初年度に行う予定であったマイクロアレイの解析の一部を次年度に回したため、次年度に持ち越す分の予算が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度までに完了できなかったマイクロアレイ解析を行い、エストロゲン受容体の発現制御機構をより詳細に検討する。
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