2017 Fiscal Year Research-status Report
σ1/5-HT1A受容体間相互作用による前頭葉ドパミン神経調節機構の創薬基盤研究
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16K08268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吾郷 由希夫 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (50403027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田熊 一敞 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90289025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | σ1受容体 / 5-HT1A受容体 / GABAA受容体 / c-Fos / 大脳皮質前頭前野 / 腹側被蓋野 / SH-SY5Y細胞 / 細胞内カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では,セロトニン1A (5-HT1A)受容体とシグマ1 (σ1)受容体間の機能的相互作用による前頭葉ドパミン遊離増強にGABAA受容体の機能低下状態が必須であることを明らかにした. 本年度は,この相互作用に関与する脳活性化部位を特定するため,神経活動マーカーである最初期遺伝子c-fosの蛋白質発現を免疫組織化学染色法により解析した.その結果,GABAA受容体アンタゴニストであるピクロトキシンを前投与した状態においてのみ,5-HT1A受容体とσ1受容体の両活性化により,大脳皮質前頭前野と腹側被蓋野におけるc-Fos発現が増加した.また,側坐核ではc-Fos発現に変化はみられなかった.腹側被蓋野で増加したc-Fos陽性細胞ではドパミン作動性ニューロンのマーカーであるチロシン水酸化酵素陽性の細胞が多くみられた.以上の結果から,GABAA受容体の機能低下状態においては5-HT1A受容体とσ1受容体の機能的相互作用により,腹側被蓋野が特異的に活性化することが明らかになった. また,5-HT1A受容体とσ1受容体の細胞内シグナルにおける相互作用を解析するため,ドパミン系神経モデル細胞として汎用されるヒトSH-SY5Y細胞を用いて,細胞内カルシウム濃度変化を指標とした両受容体機能の評価系の構築について検討を行った.SH-SY5Y細胞において,5-HT1A受容体とσ1受容体のmRNAが発現していることをRT-PCR法により確認した.カルシウム蛍光指示薬 Fura-2を用いたシングルセルイメージング法により,選択的σ1受容体アゴニストSKF-10047,ならびに5-HT1A受容体アゴニスト8-OH-DPATがそれぞれ用量依存的に細胞内カルシウム濃度を増加させることを明らかにした.以上から,本細胞系が両受容体相互作用の解析において有用なツールとなる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,5-HT1A受容体とσ1受容体間の機能的相互作用による前頭葉ドパミン神経活性化に関与する脳部位を明らかにすることができた.また,その相互作用の詳細なメカニズムを解析するために,in vitroでの培養細胞を用いた実験系を予定どおり構築できた.以上から,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立したin vitroでの5-HT1A受容体とσ1受容体の機能評価モデルを用いて,両受容体の相互作用について解析する.
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Research Products
(9 results)