2016 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病患者 iPS 細胞由来ドパミン神経におけるエピゲノム修飾機構の解析
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16K08280
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
葛巻 直子 星薬科大学, 薬学部, 講師 (10507669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ヒト iPS 細胞 / ドパミン神経 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討により、健常者と比較し、パーキンソン病患者 (PARK2) iPS 細胞由来ドパミン神経細胞において、ドパミン代謝に重要なCOMT の著明な発現増加が認められ、パーキンソン病患者 iPS 細胞由来ドパミン神経細胞において COMT 遺伝子転写開始点直上のCpG サイトにおいて、健常者ではほぼ完全にメチル化されているのに対し、パーキンソン病患者 (PARK2) iPS 細胞由来ドパミン神経細胞では低メチル化状態にあることが明らかとなった。このような COMT 発現の亢進は、パーキンソン病患者 iPS 細胞では認められず、ドパミン神経への分化が進むにつれて顕著に認められることを明らかとした。こうした条件下、こうしたパーキンソン病患者 iPS 細胞由来ドパミン神経細胞における COMT 遺伝子の発現変化がparkin 遺伝子の変異に起因しているか否か検討する目的で、CRISPER/Cas9 システムを応用して、isogenic iPS line を作製し、検討を試みた。その結果、健常者 iPS 細胞に、PARK2 患者と同様の parkin 遺伝子の変異を挿入し、parkin 遺伝子を欠損させた isogenic iPS line をドパミン神経細胞へと誘導し検討を行ったところ、COMT の有意な発現増加が認められた。一方、ドパミン神経細胞における COMT 発現亢進に伴った器質的あるいは機能的変化を抽出する目的として、FLEX switch システムにより COMT を発現させるアデノ随伴ウイルスベクターならびにレンチウイルスベクターを作製したため、表現系の解析に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
parkin 遺伝子の欠失と疾患表現系の因果関係を検討する目的で、健常者 iPS 細胞に、PARK2 患者と同様の parkin 遺伝子の変異を挿入し、parkin 遺伝子を欠失させた isogenic iPS line の作製を試みたところ、順調に作製が進み、実験に応用することができた。また、in vivo での表現系解析のために作製した flex switch システムに基づいた発現ベクターの構築も進んだため、TH-Cre あるいは DAT-Cre マウスとの組み合わせにより、解析を促進することができた。このようにマテリアルの準備が順調に整ったことにより、目的の解析が可能となり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
エピゲノム修飾変化については、isogenic iPS line を用いて引き続き検討を行っていく。また、TH-Cre あるいは DAT-Cre マウスに、flex システムに従いドパミン神経特異的に標的遺伝子を発現させ、錐体外路障害への影響について検討を行う。行動表現系の解析については、3 次元深度センサーやバランスドビームテストを始めとした装置を用いて、多角的に検討を行う。また、このような動物の黒質あるいは線条体切片を作製することにより、スライスパッチクランプを行い、機能変化についても検討する。こうした解析を行うことにより、ドパミン神経細胞における COMT 発現亢進に伴った器質的あるいは機能的変化を抽出することが可能となる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Functional Neurons Generated from T Cell-Derived Induced Pluripotent Stem Cells for Neurological Disease Modeling.2016
Author(s)
Matsumoto T, Fujimori K, Andoh-Noda T, Ando T, Kuzumaki N, Toyoshima M, Tada H, Imaizumi K, Ishikawa M, Yamaguchi R, Isoda M, Zhou Z, Sato S, Kobayashi T, Ohtaka M, Nishimura K, Kurosawa H, Yoshikawa T, Takahashi T, Nakanishi M, Ohyama M, Hattori N, Akamatsu W, Okano H.
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: 6
Pages: 422-35
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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