2017 Fiscal Year Research-status Report
難治性消化管疾患の病態制御における温度感受性TRPV4チャネルの役割
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16K08287
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松本 健次郎 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10406770)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / TRPチャネル / 血管内皮 / 血管透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 炎症性腸疾患におけるTRPV4の役割 温度感受性受容体TRPV4は27~35℃の温度だけでなく、多くの物理的刺激や内因性カンナビノイドやアラキドン酸などにより活性化する非選択性陽イオンチャネルである。本研究ではDSS誘起炎症性腸疾患モデルにおけるTRPV4の局在変化と病態への関与について検討を行った。TRPV4は病態時に血管内皮に発現増大し、血管透過性の調節を介して炎症性腸疾患の病態に関与することを明らかにした。TRPV4は大腸炎発症時には病変部の血管内皮に顕著に発現増大し、血管透過性の亢進に関与しているものと推察された。本研究成果を学会発表し、論文作成を行った。さらに炎症関連大腸がんにおけるTRPV4の役割についての研究も着手している。 2) 術後麻痺性イレウスの病態におけるTRPM2の役割 TRPM2は酸化ストレスや細胞内リガンドによって活性化し、免疫応答に関わっている。本研究では内臓感覚におけるTRPM2の役割について検討を行った。TRPM2は知覚神経やマクロファージに発現し、正常時の侵害刺激の受容と炎症性腸疾患モデルラットおよびマウスにおける内臓痛覚過敏に関与していることを明らかにした。本研究成果を学会発表し、論文作成を行った。 3) TRPV4と味覚受容 味覚は、生命活動の維持に必要不可欠な感覚の1つである。TRPV4は、皮膚、消化管に加えて舌にも発現することが示唆されている。しかし、味覚機能に対するTRPV4の役割については明らかになっていない。本研究では、マウス舌におけるTRPV4の発現局在と味覚感受性との関連について検討を行った。TRPV4は、マウスの味蕾基底細胞に発現し、酸味受容細胞であるIII型味細胞への分化及び増殖に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、炎症性腸疾患モデルにおいて血管内皮細胞に発現するTRPV4の役割を解明し論文を発表した。さらに術後麻痺性イレウスモデルを用いた病態評価、そして新規標的としてTRPM2を提唱し論文発表し、研究成果を社会に発信することができたためである。 さらに味覚受容や大腸がんの病態についての研究にも着手し、鍵となる多くの知見を得ているため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、味覚受容や大腸がんの病態におけるTRPV4の役割について明らかにし論文作成を行うことを前半の目標として研究を推進していく。後半は社会的敗北ストレスによる、過敏性腸症候群モデルにおけるTRPV4と病態の関与についての検討を開始する病態モデルにおいて内臓痛覚過敏やストレスホルモンの増強など過敏性腸症候群様の症状が確認されており、TRP遺伝子改変動物を用いて標的を絞っていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)2年目の研究が計画通り進行したことによって、動物代が当初計画より少なくなったため、使用額の変更が生じた。 (使用計画) 本年度はがん、味覚研究の成果発表のための経費と過敏性腸症候群モデルの評価のために実験動物、電極等の消耗品は必須である。また高次中枢、大腸における標的や伝達物質の発現解析のため多くの抗体の購入のを予定している。
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[Journal Article] Role of transient receptor potential melastatin 2 in surgical inflammation and dysmotility in a mouse model of post-operative ileus.2018
Author(s)
Matsumoto K, Kawanaka H, Hori M, Kusamori K, Utsumi D, Tsukahara T, Amagase K, Horie S, Yamamoto A, Ozaki H, Mori Y, Kato S
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Journal Title
American Journal of Physiology Gastrointestestinal Liver Physiology
Volume: 315
Pages: G104-G116
DOI
Peer Reviewed
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