2018 Fiscal Year Annual Research Report
Inner ear pharmacological studies on strategies for prevention and theraputics of sensorineural hearing loss
Project/Area Number |
16K08288
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 雅紀 摂南大学, 薬学部, 准教授 (00411710)
山口 太郎 摂南大学, 薬学部, 助教 (30710701)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 音響外傷性難聴 / 騒音性難聴 / 老年性難聴 / ファイトケミカル / カルパイン阻害薬 / クルクミン / レスベラトロール / クロロゲン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究の目的は、①各種感音難聴モデル動物の作製、②感音難聴の発症メカニズムの解明、③感音難聴の予防薬及び治療薬のリード化合物の探索、④薬理学研究分野の中に「内耳薬理学研究」分野の確立を通して、最終的には感音難聴の薬物治療戦略の確立を目指すことであった。 当該研究では、強大音響曝露によるの聴覚(音響外傷性難聴)の発症メカニズムに、蝸牛内の4-hydroxynonenalおよびperoxynitriteの過剰発現、mitogen-activated protein kinase(MAPK)の活性化を介したNa+-K+-ATPase活性やギャップ結合機能の低下、線維細胞障害が関与することを解明した。また、この難聴がラジカル消去薬、一酸化窒素合成酵素阻害薬、カルパイン阻害薬、p38MAPK阻害薬により抑制されることを見出した。また、他の難聴モデルとして慢性騒音暴露誘発性難聴モデル動物を作成し、その病態が老年性難聴に類似することを見出した。慢性騒音暴露誘発性難聴の発症には上記の音響外傷性難聴とは異なり、過剰酸化ストレスやカルパインの関与はみられず、蝸牛外側壁のギャップ結合の機能低下もみられなかった。この難聴モデルの発症には、シクロオキシゲナーゼおよび活性化マクロファージによる内有毛細胞と蝸牛神経の間のシナプスの減少が関与することが明らかとなった。また、このモデルの予防薬として、ファイトケミカルであるクルクミン、レスベラトロール、クロロゲン酸が有効であり、これらはすべて内有毛細胞―蝸牛神経間シナプスの減少を抑制することが判明した。 以上の結果は、老年性難聴と類似病態をもつ慢性騒音誘発性難聴の発症メカニズムの解明とその予防薬候補物質の発見であり、騒音性難聴や老年性難聴などの増悪性聴覚障害の予防薬の開発に大きく貢献するものである。
|