2017 Fiscal Year Research-status Report
基質特異性と配列相同性の相関による機能未知二次代謝糖転移酵素の同定と応用
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16K08297
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
寺坂 和祥 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (60405214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物二次代謝糖転移酵素 / アントラキノン / 薬用植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物二次代謝産物として重要であるアントラキノン生合成系において、未知のアントラキノン特異的配糖化酵素を単離するため、今年度は以下の研究を行った。まず、前年度までにモミジバダイオウ(Rheum palmatum)から単離していた、複数クローンの植物二次代謝糖転移酵素についての機能解析を進めた。これらのクローンの組換え酵素を大腸菌で発現させる系を構築し、得られた組換え酵素を用いて配糖化酵素活性を解析した。その結果、1クローンがアントラキノンアグリコンの一つであるエモジンに対して配糖化酵素活性を示した。現在、このクローンの基質特異性と生成したエモジン配糖体の構造解析を進めている。 また、より多くの新規配糖化酵素遺伝子を得るため、モミジバダイオウの葉と根のtotal RNAを材料として、RNA-seq解析による網羅的な遺伝子配列取得と、各器官での遺伝子発現の比較解析を行った。その結果、すでに単離した配糖化酵素遺伝子以外の多くの配列を取得できた。前年度行った、モミジバダイオウ各器官での成分分析の結果と比較することで、アントラキノン特異的配糖化酵素遺伝子の絞り込みが可能になると考えられる。 さらに、モミジバダイオウと類縁植物であり、遺伝子配列情報が公開されているガーデンルバーブ(Rheum rhabarbarum)のデーターベースより、植物二次代謝糖転移酵素遺伝子の配列情報を取得した。これらについても遺伝子単離を進めており、アントラキノンに対する配糖化活性の基質特異性を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の推進にとって重要な新規配糖化酵素の単離と機能解析を進めることができたものの、アントラキノンに対する特異性を同定できるところまでは至っていない。また、植物配糖化酵素ライブラリーによるアントラキノン配糖化能の検定も位置選択性と配列相同性の相関を明らかにするまでには至っていない。しかしながら、モミジバダイオウのRNA-seqのデータやガーデンルバーブの配列情報の解析が進んでいることから、モミジバダイオウやガーデンルバーブの器官別の成分分析のデータと組み合わせた解析を行うことで、遅れている部分を補うことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、モミジバダイオウ由来の新規配糖化酵素のアントラキノン配糖化能の検定を進める。また、アントラキノン配糖化活性を有する新規配糖化酵素については、その基質特異性を酵素化学的に明らかにする。さらに、ガーデンルバーブ由来の配糖化酵素のアントラキノン配糖化能を検定し、モミジバダイオウ由来の配糖化酵素との間で、配列相同性と機能発現に相関があるかを検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 3月の学会発表を見送ったため、旅費の支出が計画を下回った。 (使用計画) 学会参加費や論文投稿料など成果発表の費用に使用する。
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Research Products
(1 results)