2017 Fiscal Year Annual Research Report
微生物代謝産物からの抗結核物質の探索と作用点の解明
Project/Area Number |
16K08303
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三浦 広美 北里大学, 感染制御科学府, 助教 (20462252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 厚子 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (20300759)
中島 琢自 北里大学, 北里生命科学研究所, 特任准教授 (40526216)
野中 健一 北里大学, 感染制御科学府, 助教 (60421369)
稲橋 佑起 北里大学, 感染制御科学府, 特任助教 (70645522)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗結核薬 / ジアミノピメリン酸合成経路 / アルギニン修飾シリカゲル / 親水性相互作用クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
抗結核薬の新たな標的として、細菌のペプチドグリカンの構成成分であるジアミノピメリン酸 (DAP) の合成経路に着目した先行研究(「微生物二次代謝産物からの新抗結核薬の探索」平成26-27年度、挑戦的萌芽研究)にてStreptomyces sp. K12-0214の培養液を候補として見出し、本研究で活性物質の単離・精製を進めた。 本活性物質は水溶性で、通常単離に汎用されているODS、silica、HP20などの樹脂では分離が困難であったため、水溶性物質の単離に応用できそうな種々の樹脂と溶出条件を用いて精製条件の検討を行った。その結果、Arg修飾silica樹脂を用いて親水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophilic Interaction Chromatography=HILIC)で溶出することにより、比活性が20倍に上昇した画分を得ることができた。 この画分をBio-gel P-10を用いてゲルろ過クロマトグラフィーにて分画したところ、さらに比活性が上昇した画分を得ることができた。溶出容量からこの活性物質は分子量>700であると推測された。このBio-gel P-10活性画分についてNMR測定を試みたが、複数の物質が混在しており構造の推定には至らなかった。過去の文献の情報より、有機酸の可能性が考えられたため、種々の標品 (乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピルビン酸、コハク酸)とともに薄層クロマトグラフィーを行って比較したが、いずれとも一致しなかった。 これまでに得られた知見より、本活性物質は水溶性物質で分子量は700より大きく、塩基性条件下で活性が減弱する。さらに抗菌スペクトルの特徴(M. smegmatis および E. coli に抗菌活性を示し、S. aureus には抗菌活性を示さない)からも、既存の抗結核薬や有機酸とは異なる物質であることが強く示唆された。
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