2016 Fiscal Year Research-status Report
特異な環骨格を有するリモノイドを基盤とした医薬シードの開発と機能解明
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16K08309
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
森田 博史 星薬科大学, 薬学部, 教授 (70220069)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リモノイド / ceramicine B / センダン科 / 脂肪細胞分化抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
創薬シードの探索を目的として、種々のセンダン科植物より特異な環骨格を有する新規リモノイドを見出してきた。初年度はマレーシア産 Chisocheton ceramicus に主成分として含有される ceramicine B (Cer-B) の脂肪細胞の分化抑制作用を中心に検討した。この分化抑制には PPARγ のタンパク発現の抑制が関与していることが明らかとなり、Cer-B 添加から短時間で ERK のリン酸化が有意に増強された。ERK のリン酸化に関与する因子としてカルシウムシグナルに注目し、Cer-B の脂肪細胞分化抑制作用を解析した。カルシウムカルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡ (CaMKⅡ) は細胞内カルシウムイオン濃度上昇によって活性化し、タンパク質のリン酸化を引き起こすことが知られている。また、ERK も CaMKⅡ によってリン酸化されることが知られている。以上よりカルシウムシグナルが関与する可能性を検討した結果、Cer-B は、CaMKⅡ の作用を介して間葉系細胞から脂肪細胞への分化抑制に関わることが推察された。 今までの構造情報より、B 環部の5, 6, 7位周辺の立体的構造情報が活性発現に重要であると考えられた。Cer-B の6位水酸基の影響を検討するため、6位水酸基の異性体、デヒドロ体、エステル体、エーテル体などを合成した。さらに、Cer-B にセミピナコール転移反応を行うことにより、新しい環縮小骨格を有する化合物を合成した。構造活性相関の解析のため、Cer-B を用いた環骨格変換を行うことにより、新たな創薬素材分子を設計中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既にceramicine B の脂肪細胞分化抑制の作用機序を検討して、その抑制機構を推定した。また、詳細な成分の検討とアナログ合成により、各種の誘導体作成の検討を開始した。また、新たなセンダン科植物由来のリモノイド探索に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
Ceramicine B のメラノソーム内在タンパク質に対するメラノソーム形成阻害の影響を検討し、メラニン産生抑制作用の機序を検討する。また、構造活性相関の解析を行うために、ceramicine Bの B 環をセミピナコール転移反応により生成する新しい環縮小骨格の化合物を合成する。ceramicine Bを用いた環骨格変換を行うことにより、新たな創薬素材分子を設計する。確立したスクリーニング系を活用して、アナログ体の活性評価を行うと同時に、さらに新たなリモノイド類の探索を行う。
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Research Products
(1 results)