2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08310
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
渋谷 雅明 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50170923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トリテルペン / ソヤサポゲノールB / グルクロン酸転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物では、UDP-グルクロン酸はUDP-グルコースがUDP-グルコース脱水素酵素により酸化を受け生産される。一方、酵母にはUDP-グルコース脱水素酵素がなく酵母細胞内にUDP-グルクロン酸が存在しない。そのため、本研究を遂行するにあたって酵母内でUDP-グルクロン酸を生合成させる必要がある。前年度にダイズ由来UDP-グルコース脱水素酵素のクローニングを行い、酵母での発現させ、酵母内にUDP-グルクロン酸を蓄積させることに成功した。 今年度は、ダイズのゲノム配列データーベースを基に、ソヤサポゲノールBにグルクロン酸を転移する酵素の候補遺伝子の絞り込みを行った。その中で、発現様式から最も可能性の高い遺伝子として、Glyma.02g104600を選んだ。 候補遺伝子(Glyma.02g104600)のN末、C末の配列に対応するオリゴDNAを合成し、ダイズのmRNAを鋳型にRT-PCRを行ったところ、1.4kbpの大きさのDNA断片が増幅された。このDNA断片を、前年度に構築したpESC-DH(2種の異なった遺伝子を発現させることができる酵母発現ベクターの片側のサイトにUDP-グルコース脱水素酵素遺伝子を組み込んだプラスミド)に組み込んだ。シークエンスを行い、PCRにより生じるエラーを含まないクローンを選択した。pESC-DH-GT640と命名した。 pESC-DH-GT640を酵母InvSc2に導入した。形質転換酵母を培養し、発現を誘導後、培地をリン酸緩衝液に置換し、生成物を蓄積させた。酵母を収穫し、培地をブタノールで抽出、及び酵母細胞を破砕後ブタノールで抽出した。ブタノールを除去し、残渣をメタノールに溶解した。得られたメタノール溶液を逆相HPLCで解析した。培地をブタノールで抽出したものに、極めて低強度ではあったがソヤサポゲノールBと同一の保持時間を有するピークが検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソヤサポゲノールB-UDP-グルクロン酸転移酵素は、これまでクローニングされていない。実績概要で述べたように、本年度は、候補遺伝子(Glyma.02g104600)を酵母で発現させた。生成物と期待するソヤサポゲノールBの生産量は極めて微量で、必ずしも機能の同定に成功したとは言い難いが、再現性の確認、LCMSによる好感度のアッセイ、発現条件等の最適化等による生産量増加等によって完全な同定が可能となると思われ、概ね予定どおりの成果を得たと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように、候補遺伝子(Glyma.02g104600)を酵母で発現させ、再現性の確認、LCMSによる好感度のアッセイ、発現条件等の最適化等による生産量増加等によって完全なる同定を行う。 Glyma.02g104600が標的遺伝子ではない可能性も否定できず、Glyma.02g104600以外の候補遺伝子についても、同様に活性を調べる。候補遺伝子絞り込みには、発現量のみならず、タンパク質の脂溶性、分子量、ステロール配糖酵素との相同生等の情報も用いる。
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