2017 Fiscal Year Research-status Report
Molecular basis for drug discovery of dipeptidyl amino peptidases from Non-Fermented Gram-Negative Rods
Project/Area Number |
16K08322
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
阪本 泰光 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (00349036)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | DPP / ジペプチジルアミノペプチダーゼ / 多剤耐性菌 / 歯周病菌 / 結晶構造解析 / SBDD / FE創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性菌及び歯周病菌由来DPP群と共同研究者のがフラグメントエボリューションによる探索で見出した化合物、ペプチド誘導体との複合体構造を決定し、得られた構造情報に基づいて化合物の最適化を進めている。また、最適化をした化合物の一部について阻害活性評価を実施し、阻害活性が10倍以上向上していることを確認した。(未発表) また、微生物DPP4とヒトDPP4阻害剤複合体構造を明らかにした。この複合体の構造からアポ体の構造では見えていなかった20アミノ酸残基ほどのαヘリックスを含む領域が基質認識に重要であることを明らかにした。さらに、この領域の特徴を指標にしたヒトDPPや微生物DPPに対する系統樹解析から、微生物DPP4は、ヒトDPP4ファミリーよりヒトDPP8/9ファミリーに近縁であることを示した。ヒトDPP8/9は、経口糖尿病薬として知られるグリプチン類の分子標的であるDPP4の類縁酵素であり、DPP4阻害剤の副作用を引き起こすオフターゲットや炎症性細胞死に関与することが知られている。本研究は、ヒトDPP4阻害剤とDPP8/9ファミリーの複合体構造として最初の報告である。DPP4阻害剤のヒトDPP8/9への結合による阻害は糖尿病薬の副作用発現を引き起こすことから、DPP8/9ファミリーとDPP4阻害剤複合体の構造情報は、副作用の少ない糖尿病薬や抗がん剤の開発、炎症性細胞死のメカニズム解明に役立つと考えられる。一方、微生物DPPを標的とする抗菌薬開発としては、微生物DPP4特有のファーマコフォアを見出し、ヒトDPP8/9やDPP4に結合せず微生物DPP4にのみ結合する化合物の設計の可能性を示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、多剤耐性菌 Stenotrophomonas maltophilia、歯周病菌 由来 DPP 群について、阻害剤等複合体の結晶構造解析、FragmentEvolution創薬(FE創薬)、ペプチド類似化合物設計、阻害活性評価を行ってきた。 2016年度から2017年度にかけて、多剤耐性菌及び歯周病菌由来DPP群と共同研究者の産総研・阪下博士らがフラグメントエボリューションによる探索で見出した化合物、神戸学院大の日高博士らが合成した化合物との複合体構造を決定し、得られた構造情報に基づいて化合物の最適化を進めている。また、最適化をした化合物の一部について阻害活性評価を実施し、阻害活性が10倍以上向上していることを確認し、一部については抗菌活性評価を実施した(未発表)。 今年度は、微生物DPP4と化合物複合体構造を明らかにした。複合体の構造からアポ体の構造では見えていなかった20アミノ酸残基ほどのαヘリックスを含む領域が基質認識に重要であることを明らかにした。さらに、この領域の特徴を指標にしたヒトDPPや微生物DPPに対する系統樹解析から、微生物DPP4はヒトDPP4ファミリーよりヒトDPP8/9ファミリーに近縁であることを明らかにした。ヒトDPP8/9は、ヒトDPP4阻害薬のオフターゲットであり、その阻害は副作用の発現と密接に関係する。これらの成果は、ヒトDPP4を選択的に阻害する副作用の少ない糖尿病薬、ヒトDPP8/9を選択的に阻害して効果を発現する抗腫瘍薬、微生物DPP4を選択的に阻害する抗菌薬の開発に貢献すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
多剤耐性菌及び歯周病菌由来DPP群の構造情報に基づいて特異的阻害剤の設計、合成、阻害評価を実施するという 当初の目標をほぼ達成しつつある。今後は、これらの化合物の抗菌活性評価、動物においての効果、代謝、吸収、動態および副作用についての評価を実施し、その結果を化合物の設計等にフィードバックすることが必要となる。また、DPP4については、DPP8/9との類似性から副作用の少ない糖尿病薬の開発を目指した研究の着手についても検討する。
|
Causes of Carryover |
2018年度の大阪大学蛋白質研究所共同研究員旅費が削減されるという連絡を大阪大学より年末に受け、次年度の放射光施設での実験に向けた旅費を確保するために研究費の使用を控えたため。
|
Research Products
(22 results)