2016 Fiscal Year Research-status Report
臨床への応用を目指した活性中心指向型プラスミン阻害剤の設計
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16K08333
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
津田 裕子 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (10098478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 恵子 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (20289028)
日高 興士 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30445960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラスミン / 阻害剤 / P1’ 残基 / 炎症性疾患治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスミン(PL)はトリプシン様酵素であり、血栓除去に関わるほかに炎症を促進するサイトカインを活性化すると考えられている。我々は共同研究により、PL阻害剤であるYO-2が急性移植片対宿主疾患(GVHD)モデルマウスや潰瘍性大腸炎モデルマウスにおいて、生存率を顕著に改善することを明らかにしてきた。今年度はYO-2を基盤構造として、さらに阻害活性を向上させることを目的として、YO-2分子中のピコリル基の置換と、オクチルアミド基のイミダゾール基への置換を行った。 i) ピコリル基の置換:ピコリル基のピリジン環の塩基性の効果を確認するために、ピリジン環をベンゼン環に置換して4位及び3位にカルボキシ、エステル、アミド基を導入した。これら置換により阻害効果の大きな増強がみられなかったことから、ピリジン環の疎水性が相互作用に効果的であることが示唆された。【Tsuda et al, 34th European Peptide Symposium (2016)】 ii)イミダゾール基の導入:近年、イミダゾール基を有する第XI因子阻害剤が報告された。第XI因子はPLと同様にトリプシン様酵素であるが、作用は異なり血栓形成に関わっている。報告された第XI因子阻害剤は、YO-2と同じくトラネキサム酸(Tra)を有し、さらにPhe分子を含んでいることから、イミダゾール基を有するPL阻害剤の合成を着想した。得られた化合物は772-2.17 microMの範囲のIC50値を示した。H-Tra- Tyr(OPic)-Imi-X (X = Ph)はこのシリーズ中、最も強い阻害活性を示した (IC50 = 2.17 microM)。【Tsuda et al, The 53rd Japanese Peptide Symposium (2016)】
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の阻害効果を大きく凌駕する化合物を得ることは出来なかった。しかし、P2およびP1’残渣の構造について以下のように有用な情報を得ることができた。 ・ピコリル基の置換により、ピコリル基の効果はピリジン環の塩基性に由来するのではなく環構造の疎水性によるものであることが示された。このことはS2ポケットにおいて疎水性相互作用が重要であることを示しており、今後のP2残基の分子設計の指針となる。 ・新規にイミダゾール基を導入したところ、化合物の溶解性を改善することができた。疎水性に富んだP2残基との組み合わせにより、物性に優れた化合物を生む可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の指針で分子設計を継続する。 ・P2残基を疎水性に富んだ分子で伸張し(脂肪族でも芳香族でもよい)、P1’位にイミダゾール基を持つ化合物を合成する。 ・P2およびP1’残基を伸張し、環化する。 ・P1残渣の修飾を行なう。 それと同時に、PL-阻害剤複合体のX-線構造解析をすすめ(共同研究)、PL阻害剤を使ってPLの炎症時の役割を明らかにする(共同研究)。
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Research Products
(8 results)