2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床への応用を目指した活性中心指向型プラスミン阻害剤の設計
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16K08333
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
津田 裕子 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (10098478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 恵子 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (20289028)
日高 興士 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30445960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラスミン / 阻害剤 / 炎症性疾患治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスミン(Plm)は線溶系の主要な酵素であるが、血栓除去ばかりでなく、腫瘍の形成にも関わっており、多発性骨髄腫患者において凝固線溶系に異常がみられることが報告されている。今回我々は、劇症多発性骨髄腫モデルマウスを作製し、これにPlm 阻害剤を投与した。Plm 阻害剤はPlmを抑制するが、多発性骨髄腫の進展を抑えることができないことを示した【Salita Eiamboonsert, Yuko Tsuda, Beate Heissig et, al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 2017, 488, 387-392】。 さらに、凝固線溶系因子は免疫系を過剰に活性化させることが示唆されてきた。マクロファージ活性化症候群(MAS)は、免疫の過剰な活性化により引き起こされるサイトカイン・ストームと多臓器で起こる機能障害が特徴であり、重篤な病状である。このような病状では凝固線溶系に異常がみられることは知られていたが、線溶系の主要酵素であるPlmの役割は不明であった。今回MASモデルマウスを作製し、このモデルではPlm活性が異常亢進しており、免疫系の過剰な活性化に凝固線溶系因子が関わっていることを示した。さらに、Plm阻害剤でPlmを抑制するとMASによる死亡率を低下できることを示した【Hiroshi Shimazu, Yuko Tsuda, Koichi Hattori, et. al. blood, 2017, 130, 59-72】。 最後に、ミクロプラスミン(microPlm、プラスミンの活性中心領域)と我々のPlm 阻害剤の共結晶構造を解析し、酵素-阻害剤の相互作用様式を明らかにすることができた。【Ruby H, P. Law, Yuko Tsuda, et. al. blood advances, 2017, 1, 766-711】。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Plmは線溶系の主要な酵素で、血栓除去に関わっていることはよく知られている。そればかりでなく、Plmは腫瘍の形成および免疫系の亢進に関わっていることが示唆されてきた。しかし病態モデル動物を使ってPlmの役割を検討する試みはなされていなかった。本研究においては、病態モデルマウスを作製した。病態モデルマウスとPlm阻害剤を使用して、病態下のPlmの役割の一部を解明することができた。1)Plm 阻害剤は多発性骨髄腫モデルマウスにおいてPlmを抑制することはできたが、多発性骨髄腫の進展を抑えることはできなかった。従って、Plmが多発性骨髄腫の進展に直接関わっているとは言えないことが示された。2)マクロファージ活性化症候群(MAS)モデルマウスではPlm活性が異常亢進しており、免疫系の過剰な活性化にPlmが関わっていることを示した。 酵素-阻害剤の相互作用様式が明らかになったことにより、それを基に新規阻害剤の分子設計を進めることができる。したがって今後の進展は加速することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
・P1’残基を疎水性に富んだ分子で伸張する(脂肪族でも芳香族でもよい)。 ・P2’およびP3’残基を伸張し、環化する。Head-to-tailまたはring-closing methathesis (RCM)の手法を試みる。 ・P1残渣の修飾およびP1残渣のつなぎの部分の化学修飾を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] X-ray crystal structure of plasmin with tranexamic acid-derived active site inhibitors.2017
Author(s)
Law RHP, Wu G, Leung EWW, Hidaka K, Quek AJ, Caradoc-Davies TT, Jeevarajah D, Conroy PJ, Kirby NM, Norton RS, Tsuda Y, Whisstock JC.
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Journal Title
Blood Adv.
Volume: 1
Pages: 766-771
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Pharmacological targeting of plasmin prevents lethality in a murine model of macrophage activation syndrome2017
Author(s)
Shimazu H, Munakata S, Tashiro Y, Salama Y, Dhahri D, Eiamboonsert S, Ota Y, Onoda H, Tsuda Y, Okada Y, Nakauchi H, Heissig B, Hattori K.
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Journal Title
Blood
Volume: 130
Pages: 59-72
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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