2017 Fiscal Year Research-status Report
機能分子トレーサー創製のための高速付加環化反応による環状内炭素の11C標識法
Project/Area Number |
16K08339
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
張 周恩 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (00416207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PETイメージング / 医薬品化学 / 環状内炭素の11C標識法 / [11C]Tetrazole / [11C]Triazine / [11C]シアン標識法 / 芳香族ボロン酸誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存のほとんどのPETトレーサーは、脂肪鎖や芳香族環上に[11C]メチル基、[11C]カルボニル基、または[18F]フルオロ基を導入することで得られたものである。PETトレーサーの多様性を向上させるため、環状化合物の環内炭素の11C-標識法が強く望まれる。我々は芳香族ボロン酸誘導体を前駆体とするパラジウム錯体を介した11C-シアノ化反応を開発成功した。ここで該独自のcyano-11C-標識法を活かし、新たな環状内炭素の11C-導入手法を開拓する。
今年度の成果は以下で纏めする。1)パラジウム錯体を介したcyano-11C-標識法を使って、複雑構造を持つ [cyano-11C]cetrozole、[cyano-11C]YM511、[cyano-11C]cyhalofop butylなど機能性トレーサーの合成を確立した。更に、[cyano-11C]YM511はカニクイザル脳偏桃体内アロマターゼ発現をイメージングすることも確認した。2)該cyano-11C-標識法を活かし、テトラゾール環とトリアジン環の環状内に11Cを導入する高速付加環化反応を確立した。本環状内炭素の11C-導入手法の基質一般性を検討し、様々な官能基を持つボロン酸誘導体から、ワンポットで[11C]テトラゾールと[11C]トリアジン誘導体の高効率合成を達成した。更にこれら標識法を使って、COX-2 拮抗剤であるCC-33、血管新生を阻害する4PyDAT、並びに粘膜防御性胃炎・胃潰瘍治療剤Irsogladineの11C-標識に成功した。今後は、他のヘテロ環への環状内11C導入法の開発を進め、多様なPETプローブの効率的な創出に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発した芳香族ボロン酸誘導体を前駆体とする11C-シアノ化反応は優れた官能基許容性を持ち;該法で得られた[cyano-11C]ニトリルとトリメチルシリルアジド(TMSN)などの付加環化反応の最適な条件を見つけました。本標識法は汎用な[11C]テトラゾールと[11C]トリアジン誘導体効率合成方法である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は他のヘテロ環への環状内11C導入を検討し、PETプローブの多様性に貢献する。
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Causes of Carryover |
[11C]テトラゾールと[11C]トリアジン誘導体合成の最適化は予定以上の時間をかかりましたため、他のヘテロ環への環状内11C導入法を検討する試薬費とHPLCカラム費などは来年度へ譲渡する。
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