2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of vascular disease caused by cadmium and lead mediated by multifunctional protein nucleolin.
Project/Area Number |
16K08350
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
藤原 泰之 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40247482)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヌクレオリン / カドミウム / 増殖因子 / 細胞防御因子 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多機能性タンパク質であるヌクレオリンは,血管内皮細胞やがん細胞の細胞表面に高く発現しており,増殖因子の活性調節などを通じてそれらの細胞の機能調節に影響を及ぼすことが示されているが,その機能には不明な点が多く残されている.平成30年度では,血管内皮細胞の細胞増殖並びに細胞防御応答機構へのヌクレオリンの役割について検討した.ヒト血管内皮細胞株EA.hy926 細胞にヌクレオリンに対するsiRNAを導入し,ヌクレオリンノックダウン細胞を作製した.この細胞と対照細胞の細胞増殖能を比較したところ,細胞密度の低下と生細胞数の減少が認められた.また,抗ヌクレオリン抗体処理によっても同程度の増殖阻害効果が認めれれたことから,細胞表面のヌクレオリンが内皮細胞の増殖能に寄与していると考えられる.また,カドミウムにより発現誘導される各種防御因子の発現に及ぼすヌクレオリンノックダウンの影響について対照細胞との比較検討を行ったところ,カドミウム曝露によって誘導される生体防御因子であるメタロチオネイン(MT-1X),ヒートショックプロテイン(HSP90)及びヘムオキシゲナーゼ(HO-1)の発現誘導にヌクレオリンが関与することが明らかとなった.さらに,HO-1 の発現誘導に関して転写因子 Nrf2 とヌクレオリンの関係性を調べたところ,両者は 異なる経路を介してカドミウムによる HO-1 発現誘導に関わることが示唆された.す なわち,ヌクレオリンは Nrf2 の活性化を介した HO-1 発現誘導には関与していないと考えられる.今後,血管内皮細胞のヌクレオリンの機能や役割についてさらに検討をすることでヌクレオリンの関わる増殖シグナル伝達経路やカドミウムによる血管毒性発現メカニズムの解明につながることが期待された.
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