2017 Fiscal Year Research-status Report
異物認識受容体CARによる選択的標的遺伝子調節機構
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16K08351
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
菅野 裕一朗 東邦大学, 薬学部, 講師 (40453849)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核内受容体 / 薬物代謝酵素 / 転写共役因子 / エピジェネティクス / 構成的アンドロスタン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体Constitutive active/androstane receptor(CAR)は、様々な環境化学物質や医薬品などの生体外異物をリガンドとして、異物の代謝などで重要な役割を果たしている。しかしながら、CARによる転写調節機構についてはほとんど検討されていない。そこで、CARによる転写活性化に重要な因子(転写共役因子)を明らかとするために、CAR結合タンパク質の同定を行った。その結果いくつかのCARと複合体を形成するタンパク質候補が明らかとなった。そこで、CARによる選択的な転写調節機構にかかわるタンパク質を同定するために、CARによる遺伝子発現誘導に対する候補タンパク質のノックダウンの影響を検討した。その結果、いくつかの候補タンパク質がCARの標的遺伝子選択的な転写活性化調節にかかわる可能性が示唆された。そこで、いくつかの分子に着目して詳細な制御機構の解析を行った。 Tripartite Motif Containing 24(TRIM24)は、これまでにいくつかの核内受容体の転写共役因子として報告されている。免疫共沈降法による確認により、CARとTRIM24の相互作用が明らかとなった。また、TRIM24の過剰発現によるCAR依存的なルシフェラーゼレポーター活性の増強及びノックダウンによる減弱が認められた。さらに、クロマチン免疫沈降法によりTRIM24がCARの存在下において標的遺伝子エンハンサー上にリクルートされることが明らかとなった。このことより、CARの転写共役因子としてTRIM24が関与していることが明らかとなった。さらに、TRIM24のノックダウンはCARによるCYP2B6遺伝子の発現誘導を抑制したが、CYP3A4の発現誘導には影響しなかった。このことよりTRIM24は、遺伝子選択的なCARの転写共役因子であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質量分析を用いた網羅的な結合タンパク質同定法により、これまで以上に多くの新規結合候補タンパク質の同定に成功した。現在、それらの候補タンパク質についてCARとの相互作用及び活性調節機構について検討を行っている。本年は、その中のいくつかの候補タンパク質について解析を行い、これまでに2種類のタンパク質に関してその作用機構を明らかとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りに進んでいるため、引き続きCARと結合候補タンパク質の解析を行う。同時に、CARによる標的遺伝子エンハンサー領域のクロマチン修飾の解析も行う。個々の候補タンパク質とCARの相互作用について評価を行った後、それら候補タンパク質における相互作用も評価していく予定である。
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