2016 Fiscal Year Research-status Report
TRAF6の分解を利用した感染症疾患治療薬候補物質の探索に関する研究
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16K08352
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
室井 正志 武蔵野大学, 薬学研究所, 准教授 (70311389)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感染症疾患 / Toll-like receptor / TRAF6 / IRAK-1 / 炎症性メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌感染由来の感染症疾患は、菌体成分によるToll-like receptor (TLR)の刺激による無秩序な炎症性メディエーター産生に起因するとされている。申請者はIRAK-1がTLRのシグナル伝達に重要な役割を果たしているTRAF6を分解するという現象を見出している。本研究は、これを利用して、TRAF6の分解に必要なIRAK-1の構造最少単位をペプチドレベルまで絞り込み、これをシード化合物として、TRAF6を分解することにより過剰な炎症性メディエーター産生を抑制するような感染症疾患治療薬候補物質の探索を行うものである。本年度は分解誘導に必要なIRAK-1の構造最少単位を探索した。 IRAK-1は712個のアミノ酸から成る蛋白質であり、機能的違いにより5つの領域に分けられる。そこでこれらの領域を個々に、あるいは組み合わせて欠失させた種々のIRAK-1変異体の効果を検討し、TRAF6の分解にはIRAK-1のD領域(アミノ酸1-102とC1領域(アミノ酸523-618)だけで十分であることを見出した。D領域のN末端(アミノ酸2-32)を欠失するとTRAF6の分解は見られず、C1に2ヶ所存在するTRAF6との結合部位(アミノ酸 542-547、585-590)が1ヶ所のみの場合や、C1のN末端(アミノ酸523-540)を欠失した場合はTRAF6の分解は見られなかった。 以上より、TRAF6の分解誘導にはIRAK-1のDとC1のみで十分であることを見出した。TRAF6はほぼ全てのTLRのシグナル伝達に関わる重要なアダプター蛋白であるため、IRAK-1によるTRAF6の分解機構を解明することは、過剰な炎症応答の抑制や、その治療への発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は①IRAK-1の構造領域を機能的な5つの領域に分け、それぞれの欠失変異体をTRAF6発現細胞にトランスフェクションし、TRAF6のレベルをWestern blotにより検出することで、IRAK-1の5つの領域のうち、TRAF6の分解に必要な領域と必要でない領域を決定する。②TRAF6の分解に必要な領域を単独あるいは複数組み合わせたIRAK-1変異体を作成し、TRAF6の分解に必要な領域の組み合わせを決定する。③TRAF6の分解に必要な領域をさらに欠失させたIRAK-1変異体を作成し、TRAF6の分解に必要な最小限のIRAK-1領域を決定する。以上を予定しており、おおむね最少領域を見出しているが、さらに少ない領域で十分かどうか検討が必要かも知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IRAK-1の構造最少単位に細胞膜透過性の修飾を行ったペプチドを作成し、TRAF6の分解を誘導するような化合物を得る。さらに、TRAF6の分解に必要なIRAK-1の構造領域が生理的にどのような役割を果たしているのかを解析する。さらに、得られたIRAK-1の構造最少単位から、コンピュータ解析ソフトを用いて、このペプチドのファーマコフォアを擬態する低分子化合物を探索し、TRAF6の分解を誘導する化学物質を設計することを予定している。現段階で、IRAK-1の712個のアミノ酸のうち、TRAF6の分解誘導には200個のアミノ酸で十分であることを見出しているが、200個のアミノ酸からなるペプチドを化学的に合成するのは困難であり、リコンビナントペプチドを利用することも考慮する。
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Research Products
(5 results)