2016 Fiscal Year Research-status Report
危険ドラッグ合成CB受容体アゴニストのヒトCYPによる代謝および毒性発現機構解析
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16K08354
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
渡辺 和人 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (30113038)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 危険ドラッグ / 合成CB受容体アゴニスト / JWH-018 / HU-210 / delta-9,11-THC / CYP / 代謝 / 細胞毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) CB受容体アゴニストとしてJWH-018およびJWH-073 (Huffman et al., Bioorg. Med. Chem., 11, 539 (2003)、delta-9,11-tetrahydrocannabinol (THC)(Pitt et al., JACS, 97, 3798 (1975)を既報に準じて合成した。その他は、市販品を購入した。2)検討した11種の合成カンナビノイドのうち、JWH-018, JWH-073,JWH-133, AM251, SR144528, Rimonabant, delta-9,11-THCおよび HU-210はマウスおよびヒト肝ミクロソームシトクロムP450 (CYP)と基質結合差スペクトルを与えることが明らかになり、CYPの基質になり得ることが示唆された。これらは、いずれもdelta-9-THCおよびcannabidiolと同様なType I型 (Peak ~385nm, trough ~420nm)のスペクトルを与えた。一方、AM630、CP-55940 およびWIN-55212-2は明確な差スペクトルが確認できなかった。3) JWH-018、JWH-073およびHU-210はマウスおよびヒト肝ミクロソームによりモノ水酸化へと代謝されることが明らかとなった。水酸化の位置は解析中である。4)ヒトCYP発現系による合成カンナビノイドの代謝については、予備的検討を行ったが、代謝物の生成量が微量であるため、分析方法を検討する必要があることが判明した。5)この他、平成28年度の計画には入れてなかったが、合成カンナビノイドの細胞毒性としてJWH-018、JWH-073およびdelta-9,11-THCについて検討した。前2者はマウスneuroblastoma C1300N18について検討したが、行った条件下では100μMまで顕著な毒性が認められなかった。JWH化合物については、暴露条件や細胞種を変えてさらに検討する必要がある。また、delta-9,11-THCについては、C1300N18およびヒト乳がん細胞腫由来MCF-7の両者に対して、delta-9-THCよりもやや強い細胞毒性を示した。この点については、CB受容体の関与を含めた毒性発現機構の検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画 1)~4)のうち、1)CB受容体アゴニストの合成および2)CB受容体アゴニストのCYPとの基質結合差スペクトルについては、概ね計画通りに実施できた。3)および4)のヒト肝、肺、脳ミクロソームおよびCYP発現系による合成CB受容体アゴニストの代謝については、一部予備的結果に終わっており、再検討を要する。また、平成28年度の実施計画には入れていなかった細胞毒性試験を一部の合成カンナビノイドについて行った。その結果、delta-9,11-THCがdelta-9-THCよりも強い細胞毒性を示す結果を得た。これに関しては再現性や細胞種の追加、機構解析などをさらに検討する必要がある。全体としては概ね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、1)内因性カンナビノイドの代謝に対する合成カンナビノイドの影響、2)ヒト肝ミクロソームによるCYP選択的な代謝活性に対する合成カンナビノイドの影響、3)CYP発現系による代謝活性に対する合成カンナビノイドの影響、4)ヒト肝、肺および脳の主要フィトカンナビノイドの代謝およびmicrosomal aldehyde oxygenaseに対する合成カンナビノイドの阻害作用について解析する。この他、平成28年度の積み残しであるCYP発現系による合成カンナビノイドの代謝、さらに可能であれば合成カンナビノイド、特にHU-210、HU-211、WIN-55212-1およびWIN-55212-2について細胞毒性を比較検討する。
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Causes of Carryover |
物品費により購入した分光光度計(日立U-3900)の納入価格が低価であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は、CYP発現系および合成カンナビノイド (HU-211など)の購入に充てる。
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