2017 Fiscal Year Research-status Report
シデロフォアの網羅的多様性解析と難培養性細菌の増殖培養への応用に関する研究
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16K08355
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河村 好章 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80262757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シデロフォア |
Outline of Annual Research Achievements |
シデロフォア関連遺伝子のノックアウト株の構築を行った。昨年度の研究において、当講座保有の大腸菌には、Enterobactin遺伝子のみ保有株、さらにSalmochelin遺伝子も同時に保有する株、Enterobactin、 Salmochelin、Yersinibactin、Aerobactinの4遺伝子を保有する株が有ることが判っている。そこでEnterobactin遺伝子のみ保有株に対してEnterobactin遺伝子EntCを欠損させた菌株を作成することとした。現在EntC遺伝子の欠損株作成用のベクターがほぼ構築されたので、本年度早々にtransformを行う。 シデロフォア産生を確認する最も容易な方法はCAS(クロムアズールS含有)培地上での発育と色調の変化であるが、グラム陽性菌に対してCASは発育阻害を起こすため使用できない。そこでCAS培地と通常の栄養培地を併用したhybrid培地を作成した。種々の栄養培地を試し、最も多様な菌種に対応(発育およびCAS色調変化確認可能)できるhybrid培地を構築することができた。グラム陽性菌でシデロフォア産生確認培地が構築できたことで、グラム陰性菌のみならずグラム陽性菌までの多様な菌種のシデロフォア産生確認を容易に行える様になった。現在30菌種40株程の測定が終わっている。 シデロフォア分子の単離生成方法の確立について検討を行った。鉄欠乏状態での培養時間によるシデロフォアの産生量を測定し、最も多量に産生する条件設定を行った。さらに培養上清をフィルターろ過後、イオン交換樹脂を用いたカラム精製を行い、粗抽出物を得ることが出来た。今後HPLCでさらに精製し、NMRによる構造解析まで方法論を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
岐阜大学のライブラリーを使用し多様な菌種のシデロフォア産生菌の確認を行う予定であったが、岐阜大学の改組等に伴い菌株保存施設の使用許可を得るのに時間を要している。今年度早々には許可が得られると期待している。 環境由来のシデロフォア産生の未同定株について、分類学的検討を行う予定であったが昨年度実施のための時間が十分ではなかった。今年度より学生・教員にも参加してもらい、効率良く進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
シデロフォア遺伝子欠損株の構築がほぼできているので、この株を使い、生育状態、鉄獲得状態、他の菌株から供給されるシデロフォアの利用具合などを確認する。 グラム陰性・陽性を問わずシデロフォア産生を容易に確認できる方法論が確立できたので、当講座の菌株ライブラリーおよび岐阜大学のライブラリーを使って多くの菌種のシデロフォア産生能を確認する。 シデロフォア分子の構造解析の方法論が出来つつあるので、環境由来の未同定株などから産生される新規のシデロフォア分子の構造決定も含め、シデロフォアの多様性について確認していく。
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Causes of Carryover |
29年度にシデロフォアの産生菌のゲノム解析を行う予定、および、国際学会において情報収集の予定、であったが、これらが未達成であったことから次年度使用額が生じた。 30年度は、本助成の最終年度でもあるので、上記いづれも達成できるように精力的に取り組んでいく。
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