2018 Fiscal Year Research-status Report
シデロフォアの網羅的多様性解析と難培養性細菌の増殖培養への応用に関する研究
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16K08355
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河村 好章 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80262757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シデロフォア |
Outline of Annual Research Achievements |
CAS(クロムアズールS含有)培地および我々が開発したHybrid-CAS培地により、多くのグラム陰性菌、陽性菌のシデロフォア産生菌を簡便にスクリーニングする系を確立することができた。 それを使って、グラム陰性菌170株およびグラム陽性菌220株を試験したところ、グラム陰性菌88株、グラム陽性菌53株においてシデロフォア産生を検出した。シデロフォア産生率としてはグラム陰性菌が51.8%、グラム陽性菌が24.1%であり、多様なグラム陰性菌がシデロフォアを産生している傾向が見られた。今まで多様なグラム陽性菌でシデロフォア産生をスクリーニングした知見はなく、今回初めて、グラム陰性菌の方がより多くのシデロフォア産生をしていることを明らかにすることができた。 また、この中には、これまで知られていなかった嫌気性菌でシデロフォアを産生している菌も含まれており、新知見を見出すことができた。現在分子種の特定を行っている。 環境由来のシデロフォア産生の未同定株について、分類学的検討も実施を始めた。16SrRNA配列に基づく分類学的な位置については、Pseudomonas属に近い系統位置を示したが、既存菌種とは類似度が低く、新菌種である可能性が高いことが判った。Pseudomonas属菌は、シデロフォアを産生している事が多く、環境中においても、シデロフォアを産生し、他菌種菌株の発育に影響を与えている可能性が高い。分類学的位置の精査、新分類群であればその正式提案、さらにシデロフォアの分子種決定に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
岐阜大学のライブラリーを使用し多様な菌種のシデロフォア産生菌の確認を行う予定であったが、岐阜大学の改組等に伴い菌株保存施設の使用許可を得るのに時間を要している。 環境由来のシデロフォア産生の未同定株について、分類学的検討を行う予定であったが昨年度実施のための時間が十分ではなかった。次年度より学生・教員にも参加してもらい、効率良く進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果が十分に得られていないので、1年間の期間延長を申請し、受理された。 次年度は、岐阜大学のライブラリー使用再開について早急に調整し、多様な菌種のシデロフォア産生の確認を行う。 環境由来のシデロフォア産生の未同定株について、分類学的な位置の確認、シデロフォアの分子種の特定を行う。 難培養性細菌の増殖培養へ応用実験について、海外の研究者を含め情報収集を再度行い、適する実験系を構築し、試験を実施する。
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Causes of Carryover |
岐阜大学のGTCライブラリーについて岐阜大学で準備ができ次第、菌株使用を認められるはずであったが、整理作業が長引き、使用を希望する菌種菌株の準備が整わず、実施株数が少ないため未使用額が発生した。 研究成果発表あるいは海外との共同研究等を目指して国際学会参加を予定していたが、実施できなかった。 以上のことから、研究期間の1年間延長を申請し受理されている。次年度は上記の未実施の研究についても着手する予定である
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