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2016 Fiscal Year Research-status Report

院内蔓延状況から急務となる市中感染型MRSAに対する効果的なリスク評価と対策

Research Project

Project/Area Number 16K08358
Research InstitutionShujitsu University

Principal Investigator

塩田 澄子  就実大学, 薬学部, 教授 (00368698)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords院内感染対策 / CA-MRSA / HA-MRSA
Outline of Annual Research Achievements

院内感染対策の充実に伴い、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の臨床における分離率は減少傾向にある。しかし、依然として院内感染の起因菌としては最も多く、問題となっている。
連携病院において、2011年から入院患者より分離されたMRSAの解析を行ってきたが、多数を占めていた院内感染型MRSA(HA-MRSA)が減り、市中感染型MRSA(CA-MRSA)が増加してきていることが分かった。CA-MRSAはHA-MRSAより低年齢層で分離され、起因率も高かったこと、解析当初から今日まで、CA-MRSAの特定の菌株が継続して分離されることから、CA-MRSAのリスクを踏まえた院内感染対策は急務であると考えた。MRSAの検出数の減少はHA-MRSAの検出数が減少したためであり、反対に高リスクで、現行の院内感染対策では排除しづらいCA-MRSAが院内に定着し、蔓延ってきていることが考えらえる。そこで、本研究では、MRSAを型別し、院内に蔓延するCA-MRSAを精査しリスクを評価することとした。
2015年1月から2016年3月までに津山中央病院で臨床分離されたMRSA 138株を対象にPCR-based open reading frame typing(POT)法による分類を行った。POT法でSCCmec型を決定した後、SCCmecII型を院内感染型MRSA (hospital-acquired MRSA; HA-MRSA)とし、SCCmecⅣ型とⅤ型を市中感染型MRSA (community-acquired MRSA; CA-MRSA)として、2つに分けて解析を行い、患者年齢、起因率、バイオフィルム形成能、および継続して分離されるMRSAの動向を比較検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今回の解析で予想以上に院内にCA-MRSAが蔓延っていることが示された。CA-MRSAはHA-MRSAより有意にバイオフィルム形成能が高く、それが蔓延の一因になっていることが挙げられる。また2011年に得られた臨床分離株の解析結果と今回の結果を照らし合わせると同一のPOT型を持つCA-MRSAが継続的に検出されていることもわかった。外来から持ち込まれたCA-MRSAは高い定着能を持っていることから院内に定着し、現在の院内感染対策では排除できないため、長く留まっていることが考えられる。今回、株数が多く継続的に検出されるPOT型を持つCA-MRSAが特定できたことから、この菌株のリスク因子を調べていくこととする。

Strategy for Future Research Activity

今回の結果から、HA-MRSAの分離率が減少していることから、従来の院内感染対策は、HA-MRSAの排除に有効と考えられる一方で、CA-MRSAは排除できないことが示された。CA-MRSAはバイオフィルム形成能が高く、院内に長期に定着する可能性がある。今後は院内に定着している菌株の解析を行い、CA-MRSAを視野に入れた院内感染対策を構築する必要がある。
CA-MRSAの経年的な存在比の変化や病原性などリスク評価をする。これまでの菌株を精査することにより、CA-MRSAの高リスク株の識別に使える特定の表現型を見出す。CA-MRSAの薬剤耐性パターンはHA-MRSAと異なり、比較的多種多様なことから、表現型の一つとして用いることができると考える。その他、溶血活性やclumping活性など比較的簡便に検出できる表現型を識別に用いることができないかを検討する。
次に、定着因子について多方向から解析する。すでにバイオフィルム形成能はSCCmecIV型MRSAで高いという結果を得ている。SCCmecII型とSCCmecIV型、新規に得られたSCCmecIV型と継続的に検出されるSCCmecIV型、患者からと環境から得られたMRSAなど、それぞれのMRSAの定着因子の遺伝子発現を比較検討し、定着に重要な因子を探る。また、院内定着率が高く、起因菌になるリスクの高い菌株を評価し、それらの菌株に最適な院内感染対策方法を検討していく。同時に定着因子となるバイオフィルム阻害薬についても探索を行っていく。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] 臨床鞭場における市中感染型MRSA(CA-MRSA)の増加とバイオフィルム形成能の関連2019

    • Author(s)
      和田朋子、山田陽一、近藤祥代、杉山哲大、塩田澄子
    • Journal Title

      就実薬学雑誌

      Volume: 4 Pages: 16-22

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] POT法による臨床分離されたMRSAの解析と院内感染対策への応用.2019

    • Author(s)
      和田朋子,山田陽一,近藤祥代,杉山哲大,塩田澄子
    • Organizer
      第55回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会
    • Place of Presentation
      就実大学
    • Year and Date
      2019-11-05 – 2019-11-06
  • [Presentation] 院内における市中感染型MRSAの分離率の変遷とバイオフィルム形成能の関連性.2016

    • Author(s)
      塩田澄子,山田陽一
    • Organizer
      第64回日本化学療法学会西日本支部総会,
    • Place of Presentation
      沖縄コンベンションセンター
    • Year and Date
      2016-11-24 – 2016-11-26
  • [Presentation] 薬剤耐性黄色ブドウ球菌の抗菌薬非存在下における減少と消滅2016

    • Author(s)
      山田陽一,塩田澄子
    • Organizer
      第69回日本細菌学会中国・四国支部総会
    • Place of Presentation
      サンポート高松
    • Year and Date
      2016-10-15 – 2016-10-16
  • [Presentation] 津山中央病院で臨床分離される市中感染型MRSAの割合とバイオフィルム形成能2016

    • Author(s)
      和田朋子,山田陽一,近藤祥代,杉山哲大,塩田澄子
    • Organizer
      第26回日本医療薬学会年会
    • Place of Presentation
      国立京都国際会館
    • Year and Date
      2016-09-17 – 2016-09-19

URL: 

Published: 2018-01-16  

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