2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effective risk assessments and measures for community-acquired MRSA, are urgently necessary from the spread situation in the hospital
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16K08358
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
塩田 澄子 就実大学, 薬学部, 教授 (00368698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 院内感染対策 / CA-MRSA / HA-MRSA / バイオフィルム / POT型 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携病院で臨床分離されたMRSAの解析を2011年5月から2012年11月の期間(Ⅰ期)、2015年1月から2016年3月の期間(Ⅱ期)および2018年(Ⅲ期)の3期にわたって行ってきた。その結果、Ⅰ期では院内感染型MRSA(HA-MRSA)の分離率が63%、市中感染型MRSA(CA-MRSA)が37%、Ⅱ期ではHA-MRSAが34%、CA-MRSAが66%であり、主流のMRSAがCA-MRSAに置き変わっていた。第Ⅲ期においては、HA-MRSAが12%、CA-MRSAが84%と、分離されるMRSAのほとんどがCA-MRSAになっていることが分かった。 CA-MRSAはHA-MRSAより低年齢層で分離され、MRSAの人体や環境への定着に関わると考えられるバイオフィルム形成能がHA-MRSAに比して極めて高いことが分かった。これまでの院内感染対策により、HA-MRSAの分離数は減少したが、代わりに外来からCA-MRSAが持ち込まれた後、高いバイオフィルム形成能により、院内に定着したことが示唆された。 また、Ⅱ期、Ⅲ期では皮膚感染症に関わる毒素であるedn, eta遺伝子を同時に保有する株が小児の皮膚科領域で複数株検出されているのに加え、PVLを産生する株も見出された。CA-MRSAで同一菌株とみられるPOT型106-9-2はⅠ期~Ⅲ期を通じていずれの期も複数株確認されている。Ⅱ期~Ⅲ期にかけて新たに4タイプのPOT型を示す分離数の多い株が出現していた。このように病原性に関わる遺伝子を持つ新たなリスクファクターを有するCA-MRSAが院内に流入してきたことが判明した。これらの菌株が小児科・皮膚科で広範囲に拡大することが懸念される。 高いCA-MRSAのバイオフィルム形成能を阻害する物質のスクリーニングから有用な物質も見出しており、作用機序や臨床応用を検討した。
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Research Products
(5 results)