2016 Fiscal Year Research-status Report
ADCCを介した腫瘍特異的抗体療法における制御因子の解明と抗がん作用増強への応用
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16K08372
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
阿部 真治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 助教 (00403717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 安彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (70274199)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 抗体医薬 / ADCC |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性胸膜中皮腫に代表される難治性の固形がんは既存治療法に抵抗性であり、予後改善のため腫瘍特異的抗体療法などの新規治療法開発が求められている。しかし腫瘍特異的抗体療法の主たる作用機序である抗体依存性細胞障害活性(antibody-dependent cellular cytotoxicity:ADCC)についてはいまだ不明な点が多い。本研究は、以前に我々がADCCを介して悪性胸膜中皮腫に対する抗腫瘍効果を誘導することを明らかにした特異的抗ポドプラニン抗体(J Immunol. 190:6239-6249, 2013)を用いたモデル系を活用し、ADCCを作用機序とした抗体療法の制御因子を明らかにすること、またその制御因子を介してADCCの作用増強をはかり、抗腫瘍効果を向上した新しい抗体療法の開発を行うことを目的としている。まずADCC活性の制御因子を明らかにするためにヒト悪性胸膜中皮腫細胞株を用いてフローサイトメトリーで解析を行った。その結果、11株中3株のヒト悪性胸膜中皮腫細胞で免疫チェックポイント分子であるPD-L1の発現が認められた。PD-L1は免疫系の抑制に深く関与する分子であり、ADCC活性の抑制につながる可能性が考えられた。また、抗がん剤をヒト悪性胸膜中皮腫細胞株に処置したところ、ポドプラニンの発現が抑制されることが認められた。抗ポドプラニン抗体はポドプラニンを標的としてADCC活性を誘導し、抗腫瘍効果を発現するため、標的であるポドプラニンの発現量の減少は治療効果の減弱につながる可能性が考えられた。以上のとおり平成28年度における検討において、ADCC活性の誘導を制御しうる因子の同定を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成28年度の実験計画ではADCC活性の制御に関連する候補因子を同定するとともにADCC活性誘導に対する影響をin vitroで検討することを予定していた。しかし、候補因子の同定に時間を要したため、ADCC活性誘導への影響についてはプレリミナリーな検討にとどまってしまった。しかし、候補因子がほぼ確定されたことより、今後は順調に研究が推移していくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はADCC活性の制御にかかわると考えられる各種因子が実際にADCC活性誘導に影響をおよぼすか、in vitroにおいて検討を進めていく。また同時にin vivoでの検討にスムーズに移行できるよう、マウスモデル系の確立を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の実験計画ではADCC活性の制御に関連する候補因子を同定するとともにADCC活性誘導に対する影響をin vitroで検討することを予定していた。しかし、候補因子の同定に時間を要したため、ADCC活性誘導への影響についてのin vitroの実験はプレリミナリーな検討にとどまり予定より実験回数が少なくなってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ADCC活性の制御にかかわると考えられる候補因子がほぼ確定できたので、平成29年度は実際にADCC活性誘導に影響をおよぼすか、in vitroにおいて早急に検討を進めていく。実験系はすでに確立しているため、実施に問題はないと考えられる。また同時にin vivoでの検討にスムーズに移行できるよう、マウスモデル系の確立を進めていく予定である。
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