2017 Fiscal Year Research-status Report
オーファントランスポーターによる細胞老化調節機構の解明
Project/Area Number |
16K08373
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 慎悟 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (20466535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 純男 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60323036)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | オーファントランスポーター / p53 / O-グリコシル化 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「機能未知オーファントランスポーターSLC22A18は細胞老化と炎症を制御する鍵分子である」ことを解明することを目的とした。SLC22A18発現293細胞において、トランスオミクスで予想されたタンパク質のO-グリコシル化の変化を検討したところ、Western blot法による解析の結果、複数のタンパク質のO-グリコシル化が増加していることが分かった。その中で、抗p53抗体で検出されるバンドと同じ分子量のタンパク質においてO-グリコシル化が増加しており、SLC22A18発現増加によって細胞老化に関わるp53がO-グリコシル化されている可能性を見出した。また、SLC22A18発現293細胞において、炎症反応に必要なさまざまな遺伝子を活性化させ炎症反応を誘導するNF-kbの発現が増加していた。活性酸素は細胞老化・炎症の調節因子であるが、SLC22A18発現293細胞において、細胞内の活性酸素量は増加していた。SLC22A18の発現局在解析を行ったところ、SLC22A18は細胞膜ではなく、主に細胞内小器官の膜に発現していた。以上の結果から、SLC22A18は細胞内小器官の膜に発現し、p53のO-グリコシル化によるタンパク質機能や活性酸素産生制御を介して細胞老化と炎症を制御していることが示唆された。一方、生体におけるSLC22A18の細胞老化と炎症を検証するために、Slc22a18遺伝子ノックアウトマウスを作成した。ノックアウトマウスは胎生致死ではなく、10週齢で表現系解析を行ったところ、血液生化学検査において、複数の検査項目にて変動が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおけるSLC22A18と細胞老化と炎症に関する研究は順調に進展している。また、Slc22a18遺伝子欠損マウスが作成され、in vivoにおける解析も可能になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、本年度はヒト内臓脂肪におけるSLC22A18と細胞老化・炎症についてプロテオミクスによるタンパク質発現変動解析を中心に研究を展開する。また、生体におけるSLC22A18の細胞老化・炎症との関わり、さらに、病態との関わりをSlc22a18遺伝子ノックアウトマウスを用いて研究を実施する。
|
Causes of Carryover |
昨年度からの繰り越し金があったため。
|
Research Products
(3 results)