2016 Fiscal Year Research-status Report
難治性アトピー性皮膚炎の個別化治療を可能とするマイクロバイオーム移植法の開発
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16K08384
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (10312076)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、難治性アトピー性皮膚炎患者の増悪期と寛解期の皮膚検体の皮膚マイクロバイオームをMiSeqを用いて網羅的に解析した。細菌叢は16S rRNAのV1-V3、真菌叢はD1/D2 LSU領域を解析に供した。得られたリードはQuiimeおよびin house BLASTを用いてマイクロバイオームを同定した。増悪期にStaphylococcus aureus、寛解期にStaphylococcus epidermidisが優位であることは良く知られているが、寛解期はS. epidermidisよりもむしろS. hominisやS. capitis等のStaphylococcus spp.が優位であることが明らかにされた。その他、Streptococcus spp.、Corynebacterium spp.やAcinetobacer spp.が優位菌種として検出できた。寛解期ではPropionibacterium spp.も相対的に優位になった。これは皮膚環境が弱酸性になっていることを意味していると推察された。また、真菌叢は両期間でMalassezia restrictaおよびM. globosaが優位であったが、両菌種の定着比率は寛解期の方が、M. restrictaの方が優位であった。また、Malasseziaの定着量をqPCRで定量したところ、定着量は増悪期の方が高かった。得られたリードを主成分析した結果、細菌叢および真菌叢のいずれも増悪期と寛解期で異なるクラスターを形成した。以上、本年度の研究成果をまとめると、増悪期から寛解期でマイクロバイーオームは、細菌では菌種レバルの変化が生じ、真菌では構成種はかわらないが構成比率は変化することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の目的はアトピー性皮膚炎患者の増悪期と寛解期の細菌叢と真菌叢を次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析し、次年度以降の免疫応答実験および用量設定実験に情報を提供することである。本年度は、両期間および両分類群における菌叢を解析できたので、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の計画から明らかにされたマイクロバイオームを用いてヒト皮膚角化細胞に対する免疫応答性に関する検討を行う。複数の候補マイクロバイオームから平成29年度の計画から最終的な移植用のマイクロバイオームを選定する。研究計画の変更および研究を遂行する上での問題点はない。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として43円が発生しましたが、金額から考えてほぼ適正に計画通りに使用していると判断いたします。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に43円を加えて有効に使用いたします。
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Research Products
(14 results)