2017 Fiscal Year Research-status Report
脳内異物解毒機構の変動に基づく適正な脳精神疾患薬物治療戦略の構築
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16K08385
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬物代謝 / 脳疾患 / UGT / P450 / 発現変動 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に、カイニン酸(KA)誘発性のてんかん発作によりラットシトクロムP450 2D4が一部の脳部位で減少することを明らかにしたが、本年度は、まず、このメカニズムの解明を目的に検討を進めた。その結果、てんかん発作によるCYP2D4の発現抑制は、核内octamer transcription factor 1のタンパク質量が減少し、かつ、octamer transcription factor 1のCYP2D4応答配列への結合がyin yang-1により阻害されたことで生じたと考えられた。 てんかん発作は、神経細胞へのナトリウムイオンやカリウムイオンの流入による異常興奮が一因として誘発される。そこで、本年度は、培養細胞に細胞内カルシウムイオン濃度を変動させる種々の化合物を曝露し、薬物代謝酵素の発現変動を明らかにすることを目的とした。平成28年度の結果より、特に発現変動が大きかったUGT1A6に焦点を絞って実験を行った。その結果、小胞体内へカルシウムイオンを取り込むSarco/endoplasmic reticulum Ca2+-ATPaseの阻害薬であるタプシガルギンとシクロピアゾン酸により、UGT1A6 mRNAは有意に減少した。カルシウムイオノフォアのA23187によりUGT1A6 mRNA発現量は減少したが、キレート薬であるBAPTA-AMによっては変動しなかった。また、平成28年度にラットin vivoでの実験で使用したてんかん治療薬のジアゼパムをヒト由来の培養細胞に曝露したところ、UGT1A1、UGT1A6ともに発現量の減少が認められた。ラットでは、KA誘発性のてんかん発作後にジアゼパムを投与するとUGT1A1の増加率は低下したため、種差を考慮する必要はあるが、てんかん治療薬はてんかん発作により生じたUGT1A1の発現誘導を抑制する可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に実施予定であった検討はおおむね実施できた。神経細胞における過剰興奮の要因と異物代謝酵素の発現変動の関連についてであるが、細胞内へのカルシウムイオン流入について検討した。また、てんかん治療薬による異物解毒機構の発現変動については、平成28年度に実施したラットでの実験結果をふまえてジアゼパムを用いて実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、異なる神経精神疾患のモデルを用いて、同様に異物解毒機構の発現変動を明らかにする予定である。現状ではうつ病を検討予定であるが、そのモデルの妥当性を考慮せねばならないため、慎重にモデルの選択を行った上で、平成28年度、平成29年度と同様の方法を用いて、異物解毒機構の発現変動ならびにそのメカニズムの解明を試みる。
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Research Products
(3 results)