2018 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in the expression of drug metabolizing enzymes in the brain by the brain disease and its therapeutic drugs
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16K08385
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬物代謝 / 脳疾患 / シトクロムP450 / 発現変動 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、精神疾患モデル動物における異物解毒機構の解明を目指したが、モデルの妥当性の証明が難しく、モデルの作製とともに平成29年度から引き続き行っているラットでのカイニン酸(KA)誘発性のてんかん発作がラット脳異物解毒機構に及ぼす影響について検討した。脳に多く存在する多価不飽和脂肪酸は細胞膜の主要な構成成分であり、かつ、種々のシグナル伝達物質の前駆体でもある。脳での主要な不飽和脂肪酸であるアラキドン酸はシトクロムP450(CYP)2Jでも代謝される。そこで、ラット脳内におけるCYP2J3の発現と、てんかんによるCYP2J3の発現変動について検討した。その結果、CYP2J3 mRNA発現量は、てんかん発作により、皮質と海馬で低下することが明らかになった。さらにCYP2J3のオルソログであるヒトCYP2J2の指標活性であるアステミゾールO-脱メチル化酵素活性は、てんかん発作によりラット皮質、海馬で低下した。炎症性サイトカインが、KA誘発性のてんかん発作モデルラットの皮質と海馬において増加することが報告されている。従って、てんかん発作の伝播とCYP2J3の減少は関連していると考えられた。また、多価不飽和脂肪酸は、アルツハイマー病やうつ病の患者の脳内での存在量が低下していると報告されている。臨床で使用されているマルチキナーゼ阻害薬はCYP2Jにより代謝されるものがあるため、マルチキナーゼ阻害薬のCYP2J2に対する阻害作用を明らかにすることを目的に検討を行った。その結果、アステミゾールO-脱メチル化酵素活性はアパチニブ、モテサニブ、バタラニブなどにより強く阻害されることを明らかにした。これらの薬物でCYP2J2を阻害することで、組織におけるアラキドン酸濃度が上昇する可能性があると考えられる。
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