2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫賦活薬の経鼻投与によりがん免疫細胞療法における患者負担の軽減を目指す研究
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16K08386
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
古林 呂之 就実大学, 薬学部, 准教授 (00399156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 大輔 就実大学, 薬学部, 助教 (50550620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | α-GalCer / 頸部リンパ節 / 培養細胞層透過 / エマルション / ミセル / 包接化合物 / アルブミン |
Outline of Annual Research Achievements |
強力な免疫増強作用を有するNKT細胞 (Invariant Natural Killer T cell) を活性化することが報告されているα-galactosylceramide(α-GalCer)を免疫活性化の場となる頸部リンパ節へ効率的に送達するための最適投与条件を培養細胞層透過実験により検討した。α-GalCerは脂溶性が高く、水に対する溶解度が極めて低いため、α-GalCerが膜透過後にレシーバー溶液へ十分に拡散するように、レシーバー側にアルブミンを加えた。透過実験に先立ち、実験試料中α-GalCerの定量方法の検討を行った。α-GalCerの透過量が極めて低いことが予測されたため、分析には高感度分析が可能なLC/MS/MSを利用した。試料溶液となるレシーバー側溶液の特性を踏まえて、試料の前処理方法やLC条件、MS条件の検討を行い、定量限界値約10ng/mLの感度での定量条件を確立した。 α-GalCerの粘膜上での溶解量を確保するために、タンパク質との吸着、包接化合物の形成、エマルション製剤化及びミセル製剤化を検討した。タンパク質にはα-GalCerとの吸着性を示すアルブミンを、包接化合物の形成には包接化により細胞層透過性を改善することが多く報告されているhydroxypropyl-β-cyclodextrinを用いた。また、エマルションは脂質濃度10%の高カロリー輸液用のエマルション製剤をミセル化にはTween80を用いた。いずれの製剤もα-GalCer溶解量の改善がみられたため、Calu-3培養細胞層を用いた細胞層透過実験を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LC/MS/MSによるα-GalCerの定量条件設定に想定以上の時間を要した。その理由として、LC/MS/MS装置の不具合等で使用が制限されたこと、及び、α-GalCerの定量感度が思うように上がらなかったことが挙げられる。また、Calu-3細胞の培養の安定化に想定以上の時間を要した。 いずれも現在は順調であり、研究進行に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、α-GalCerの細胞層透過を促進する添加剤の利用や脂質分散型製剤の利用など、昨年度に予定していた培養細胞によるα-GalCerの透過実験を早期に実施し、鼻腔内投与後の効率の良い吸収が見込まれる投与製剤の絞り込みを行い、それら製剤の物理化学的性質を評価する。また、その製剤を用いて動物実験によるα-GalCerの頸部リンパ節移行性及びNKT細胞活性を評価し、用量・用法の検討を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に購入した物品が予定より少し安価に購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞の培地の購入に充てる。
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