2016 Fiscal Year Research-status Report
食品成分のα-ディフェンシン分泌促進作用による小腸移植後感染症の予防戦略
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16K08388
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井関 健 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (40203062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 夏子 北海道薬科大学, 薬学部, 講師 (60535293)
小林 正紀 北海道大学, 大学病院, 准教授 (70431319)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小腸移植後感染症 / ディフェンシン |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸は、虚血再還流(I/R) 障害を受けやすく、また免疫能が高いため拒絶反応が強いという特性を有する。さらに腸内細菌による感染症のリスクが高いため、他の臓器に比べて移植が困難である。I/R 障害についても抗酸化物質を用いることで一定の予防効果が実現しているが、移植後感染症は未だ解決せず、小腸移植後の死亡原因の半分以上が感染症とされる。α-デフェンシン(Defa5,6)は腸管パネート細胞から産生され、小腸管腔内で機能する代表的な抗菌ペプチドであり、非自己認識機能を持たないため、移植片に影響しない生体防御機構と言える。また、Defa5,6は非常に広範な抗菌スペクトルを示す一方、腸内フローラを形成する常在性の細菌にはほとんど抗菌作用を示さない。このため、様々な疾患治療・予防への応用が期待され、Defa5,6 の産生亢進によりクローン病、潰瘍性大腸炎に対する予防効果が実験動物レベルで明らかとなっている。さらに、移植片対宿主病(GVHD) 時にはDefa5 が減少することも報告されている。しかしながら、Defa5 は経口投与しても期待された抗菌効果を示さないことから、Defa5,6 を用いた感染症予防には、その産生を亢進させる必要がある。 そこで、本研究では小腸移植後の感染予防法の確立を目的として、比較的安全性の高い機能性食品成分に着目し、これらの成分のDefa5,6 産生・分泌亢進作用がI/R障害時の小腸免疫能に及ぼす効果を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット小腸I/Rにおいて、酸化ストレスの指標であるマロンジアルデヒド量はコントロールラットと比較して有意に増加した。また、再灌流1時間ではDefa5,6 のmRNA量には影響を及ぼさなかった。一方で、小腸免疫の指標であるパイエル板細胞のIgA分泌量は有意に低下したことから小腸I/Rにより小腸免疫が変動することが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸I/Rにおいて小腸免疫能の低下が示唆された。今後はDefa5, 6 産生促進物質を見出すとともに移植後感染症に対する予防効果を明らかにすべく、小腸I/R モデルラットに投与し、微生物トランスロケーション抑制作用を評価する。
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Research Products
(2 results)