2017 Fiscal Year Research-status Report
機構論的速度論モデルに基づく薬物による血糖値異常の予測
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16K08394
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
永田 将司 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (40412829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 副作用 / 血糖値 / クロザピン / クエチアピン / Pharmacokinetics / Pharmacodynamics / 速度論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物による血糖値異常のメカニズムを解明するとともに、薬物、各種生体内因子および血糖値の相互を関連付ける機構論的モデルの構築を目指し、以下の検討を行った。 昨年度、非定型抗精神病薬であるクロザピンをラットに静脈内投与したところ、いずれの投与量においても血糖値は上昇し、さらに、血糖値上昇に関わる内因性物質であるエピネフリン、コルチコステロン及びグルカゴンが上昇することを明らかにした。本年度は、クロザピン投与による血清中ヒスタミン濃度への影響を検討したが、ヒスタミン上昇は認められなかった。これは、すでに我々が報告している同系統の抗精神病薬であるオランザピンと同じ結果であった(Biol Pharm Bull, 2016;39(5):746-61)。ニューキノロン系抗菌薬はヒスタミン遊離を介して血糖値を上昇させることから(Eur J Pharmacol, 2010;645,192-197)、非定型抗精神病薬による血糖値上昇のメカニズムは、ニューキノロン系抗菌薬とは異なることが示唆された。これらの結果は、現在学術論文として投稿中である。 さらに、非定型抗精神病薬であるクエチアピンによる血糖値上昇のメカニズムを明らかにするため、現在クエチアピンの定量法の開発に着手しており、超高速液体クロマトグラフィーを用いて、これまで我々が行っていた通常の高速液体クロマトグラフィー法に比べ、分析時間を大幅に短縮することができた。これにより、今後の研究をより効率的に進めることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討結果より、非定型抗精神病薬による血糖値異常のメカニズムはおおむね明らかとなった。 我々がすでに明らかにしているニューキノロン系抗菌薬の血糖値異常のメカニズムと合わせて検討することで、薬物による血糖値異常の機構論的速度論モデル構築につながるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、まずは非定型抗精神病薬であるクエチアピンによる血糖値異常のメカニズムを明らかにする。3種類の非定型抗精神病薬による血糖値異常のメカニズムを明らかにしたのち、これら薬物の血糖値異常の速度論モデルの構築を目指す。 さらに、ニューキノロン系抗菌薬による血糖値異常の速度論モデル構築もすすめ、最終的にはこれらのモデルを統合し、多様な薬物による血糖値異常の予測を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度クエチアピンによる血糖値異常のメカニズム解明を目指す動物実験を行う予定であったが、クエチアピンの定量法の開発に時間がかかり予定されていた動物実験を十分にすることができなかった。定量法の開発は本年度中に行うことができたので、次年度分の助成金と合わせ動物実験をすすめる予定である。
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