2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism-Based Pharmacokinetic-Pharmacodynamic Modeling of Drug-Induecd Dysglycemia
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16K08394
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
永田 将司 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (40412829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 副作用 / 血糖値 / クロザピン / オランザピン / クエチアピン / Pharmacokinetics / Pharmacodynamics / 速度論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物による血糖値異常のメカニズムを解明するとともに、薬物、各種生体内因子および血糖値の相互を関連付ける機構論的速度論モデルの構築を目指し、以下の検討を行った。 初年度および昨年度は、非定型抗精神病薬であるクロザピンをラットに静脈内投与したところ、いずれの投与量においても血糖値は上昇し、さらに、血糖値上昇に関わる内因性物質であるアドレナリン、コルチコステロン及びグルカゴンが上昇することを明らかにした。同系統の抗精神病薬であるオランザピンではグルカゴン上昇は認められなかったことから、血糖値上昇のメカニズムは同系統の薬物であっても異なる可能性を示した。また、ニューキノロン系抗菌薬とは異なり、いずれの薬物もヒスタミン濃度への影響は求められなかった。これらの結果から、非定型精神病薬による血糖値異常のメカニズムは、ニューキノロン系抗菌薬とは異なることが示された。ここまでの結果については、学術論文1編にまとめて公表した。さらに2018年医療薬学フォーラムでは「副作用克服に貢献する医療薬科学研究」のシンポジウムをオーガナイズし、自ら「薬剤性血糖値異常のメカニズム解明」と題し発表も行った。 最終年度は、第三の非定型抗精神病薬として、「クエチアピン」を選択し同様の実験を行った。クエチアピンをラットに投与したところ、オランザピンやクロザピンと同様、用量依存的に血糖値は上昇した。一方で、クエチアピンはラット体内で活性代謝物を生じることがわかり、この代謝物が血糖値にも影響を与える可能性が示唆された。さらに、この活性代謝物はヒトではほぼ生じないことが文献調査から明らかとなったため、クエチアピンの検討を行う上でラットを用いることは適切でないと判断し、研究を終了した。
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