2017 Fiscal Year Research-status Report
薬剤性末梢神経障害の軽減を目的とした時間薬物療法の応用
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16K08395
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤 秀人 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (90346809)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シスプラチン / 時間薬理 / オキサリプラチン / パクリタキセル |
Outline of Annual Research Achievements |
試験1:Cisplatinの末梢神経障害に及ぼす投薬タイミングの影響:昨年度の研究において、神経障害性疼痛で用いられるpregabalin (PGN)を併用したところ、CDDP誘発痛覚過敏反応を抑制することが確認された。しかし、PGNの投与を中止すると痛覚過敏が発現するため、CDDPによる神経傷害に対してPGNは、効果がないと考えられる。抗てんかん薬であるvalproate (VPA)は、脊髄損傷や脊髄結紮に対して神経修復作用を有するという報告がある。そこで、本研究では、VPAがCDDP誘発痛覚過敏反応の改善に有効か否かを検討した。VPAは、CDDPの抗腫瘍効果および肝機能障害に影響を与えることなく、CDDP誘発痛覚過敏反応に対して鎮痛作用を有することが明らかになった。また、VPAは投与中止後においても鎮痛作用を示したことから痛覚の伝達だけでなくCDDPによる神経傷害の抑制にも関与していると考えられる。 試験2:Oxaliplatinの末梢神経障害に及ぼす投薬タイミングの影響:昨年度は、ラットに対しcisplatinの投薬時刻を考慮することで、cisplatin誘発末梢神経障害の進行を抑制できることを明らかにした。そこで今回、oxaliplatinの投薬時刻を考慮することで、冷感過敏反応の軽減・抑制をできないかマウスを用いて検討を行った。また、低温度感受性チャネルであるTransient receptor potential ankyrin 1 (TRPA1) およびmelastatin 8 (TRPM8) の関与を検討した。その結果、oxaliplatin投薬後2時間目の冷感過敏反応をTRPA1阻害剤が、投薬後3日目の反応をTRPM8阻害剤が抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、研究は順調に進んでいる。臨床研究まで展開することを目指して準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、パクリタキセルの時間薬理学的検討によって明らかになった神経障害の差異の原因を明らかにする。 また、先に得られたシスプラチン及びオキサリプラチンについて、臨床研究の可否を検討していく。
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