2016 Fiscal Year Research-status Report
がん薬物療法における血管痛発現機序の解明および新規予防法の開発
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16K08397
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅 幸生 金沢大学, 薬学系, 助教 (00467101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 努 金沢大学, 附属病院, 准教授 (90409384)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血管痛 / オキサリプラチン / TRPA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は,1)血管痛抑制効果を有する薬剤の探索および2)血管痛発現機序の解明に取り組んだ. ケースコントロール研究については,オキサリプラチン(L-OHP)を末梢静脈から投与された患者を対象として,血管痛の発現患者群および非発現患者群に分類し,非発現患者群で併用割合の高い薬剤の特定に取り組んだ.当初,金沢大学附属病院の症例のみでは,症例数が不足することが懸念されたが,190例がエントリー可能であった(目標症例数200例).190例でも十分な統計解析が可能である.解析に必要なデータ収集は28年度中に完了したため,Fisherの正確確率検定やロジスティック多変量解析による統計的なデータ解析を行い,血管痛抑制効果を有する薬剤についての評価を行う.この結果より,血管痛非発現患者群で併用割合の高かった薬剤について,ラット血管痛モデルを用いて血管痛の抑制効果の評価を実施する. ラット血管痛モデルを用いた血管痛の発現機序の検討では,温度感受性侵害受容器であるTransient Receptor Potential(TRP)A1の選択的アンタゴニスト(HC030031)を大腿動脈内への投与を行い,血管痛の発現部位である血管内の濃度を一過性に上昇させたところ,L-OHPによる血管痛は有意に軽減した.また,プロカインの前投与(動脈内投与)でも血管痛が有意に抑制された.これらの結果から,TRPA1がL-OHPによる血管痛の発現に関与することが示唆された.先行研究で,L-OHPによる血管痛にTRPA1の関与が認められなかった原因は,痛みを発現する部位でのTRPA1拮抗薬の濃度が不十分であったことが考えられた.今後は,TRPA1を介した痛みの伝達を抑制できる薬剤を探索する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケースコントロール研究については,28年度中に解析を終了する予定であったが,当初の計画以上にデータ収集に時間を要し,統計解析が終了しなかったため.また,ケースコントロール研究の結果を基に開始する予定であった動物実験の開始が遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画より少し遅れているが,統計解析は短時間で終了することが予測されるため,ケースコントロール研究の遅れは,29年度中に改善できると考えられる.一部,開始が遅れていた動物実験も統計解析の終了とともに速やかに開始し,実験の効率化を図ることで,計画の遅れを修正する
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Causes of Carryover |
研究当初の予定では,28年度中にケースコントロール研究の解析を終了し,この解析結果を基にした動物実験を開始する予定であった.しかし,ケースコントロール研究のデータ収集に予想よりも時間を要したために,動物実験の開始が遅れ,この実験での使用を計画していた予算を繰り越しすることとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度5月までには,ケースコントロール研究が終了することが予測されるため,28年度中に実施する予定だった動物実験を29年度中に実施する.実験者のエフォートが不足する場合は,実験を担当する学生を増員するなどの対応を行う.
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