2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new preventive strategy and elucidation of mechanism for cancer chemotherapy-induced vascular pain
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16K08397
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅 幸生 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00467101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 努 金沢大学, 附属病院, 准教授 (90409384)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血管痛 / TRPA1 / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
オキサリプラチン(L-OHP)は生体内でPt(DACH)Cl2とシュウ酸に分解することが報告されているため、2019年度の研究では、血管痛を引き起こす主因を特定する実験を実施した。その結果、L-OHPの投与により発現する血管痛の主因は分解物ではなく、親化合物であるL-OHPであることが示唆された。本知見は、L-OHPによる血管痛の予防対策を検討する際に、予防対策のターゲットとすべき物質を明らかとした点で重要であり、詳細な血管痛発現機序の解明や臨床に即した有効性の高い予防対策の確立につながることが期待できる。 なお、2019年度中に大腸がん患者を対象とした前向き第Ⅱ相臨床試験を実施する予定であり、研究計画書の作成などを進めていた。しかし、現時点では本研究で見出した副作用予防対策(抗酸化物質の投与)の安全性に関する検討が不十分であるとの指摘を受け、臨床試験の実施は見送った。安全性に関する十分なデータを蓄積したのちに実施する。 4年間の研究により、臨床のがん薬物療法において、高頻度に血管痛を発現するL-OHPの発現機序が明らかとなりつつある。具体的には、TRPA1および活性酸素種(ROS)の関与を見出した。また、本研究で使用したラット血管痛モデルは、血管痛発現機序の解明に有用なだけではなく、予防対策の候補となる薬剤の効果を評価にも使用可能であることを示した。さらに、臨床に近い状況を可能な限り動物モデルで再現したことで、臨床に即した予防対策を検討することが可能であった。本研究で得られた知見は、抗がん剤による血管痛の発現機序を明らかとし、その予防対策を確立するために重要性・意義ともに高いものであると考えられる。
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