2018 Fiscal Year Research-status Report
腸肝循環の脱抱合メカニズムにおける薬物相互作用の分子機構解明
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16K08398
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
古俵 孝明 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 薬剤師 (50627817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 高士 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 薬剤師 (40623773)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱抱合 / グルクロン酸代謝物 / βグルクロニダーゼ / ミコフェノール酸 / アモキサピン / シプロフロキサシン |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度に行った検討結果を踏まえ、βグルクロニダーゼを介したグルクロン酸の脱抱合を阻害する薬物について阻害強度の検討を行った。具体的にはミコフェノール酸のグルクロン酸抱合体(MPAG)の脱抱合モデルを作成し、βグルクロニダーゼによるミコフェノール酸(MPA)への脱抱合反応に対する阻害剤共存下の影響について検討を行った。阻害剤にはフェノールフタレインβグルクロニド(PhePG)、エゼチミブグルクロニド(EZMG)、SN38グルクロニド(SN38G)、グルクロン酸構造を有するバイカリン(Baicalin)、アモキサピン(AMOX)、シプロフロキサシン(CPFX)の6剤を用いた。評価項目としてIC50値を算出し、各薬剤の阻害強度について評価した。 最初にMPAGの濃度条件下におけるMPAの生成量を測定し、0次反応時間内での速度論的な解析を行ったところ、Vmax値は61uM/min、Km値は1422uMと算出された。次にMPAGをKm値付近で固定し、阻害剤の濃度条件下における脱抱合への影響を検討することで阻害剤のIC50値を算出した。その結果、各阻害剤のIC50値は1.0uM(AMOX)、17.4uM(CPFX) 、111.2uM(Baicalin)、217.5uM(PhePG)、306.2uM (SN38G)、340.6uM(EZMG)でありグルクロン酸構造を持たないAMOXやCPFXのIC50値は低濃度で阻害を示すことが明らかになった。 グルクロン酸抱合体の脱抱合反応はAMOXやCPFXのように分子構造内にピペラジン骨格を有する薬物が強く影響することから、臨床現場でのミコフェノール酸の血中濃度変動に影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年間計画通り基礎実験は終了した。今後は臨床データの収集とその評価について検討を行う準備段階に移行している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床でのグルクロン酸抱合体の寄与が大きい薬物(ミコフェノール酸やイリノテカンなど)の投薬歴がある患者を抽出する。29年度に検討した阻害剤について併用群と非併用群における薬物の血中濃度変動や、副作用の重症化率について調査を行うことで臨床現場への影響を検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Influence of UGT1A1 polymorphism on etoposide plus platinum-induced neutropenia in Japanese patients with small-cell lung cancer.2018
Author(s)
Negoro Y, Yano R, Yoshimura M, Suehiro Y, Yamashita S, Kodawara T, Watanabe K, Tsukamoto H, Nakamura T, Kadowaki M, Morikawa M, Umeda Y, Anzai M, Ishizuka T, Goto N
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Journal Title
Int J Clin Oncol
Volume: 24
Pages: 256-261
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 胃全摘が及ぼすテモゾロミド血中濃度への影響2018
Author(s)
松岡大晃, 古俵孝明, 東高士, 坂田徳子, 渡邉享平, 矢野良一, 塚本仁, 東野芳史, 北井隆平, 菊田健一郎, 後藤伸之
Organizer
日本TDM学会