2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム不安定化に着眼したミコフェノールモフェチル個別化薬物療法の構築
Project/Area Number |
16K08402
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
須野 学 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20621189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真二 岡山大学, 大学病院, 助教 (10770779)
永坂 岳司 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30452569)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ミコフェノール酸モフェチル / 個別化薬物療法 / 肺移植 / メチル化遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺移植患者39例を対象に、MPA(ミコフェノール酸)血中濃度を測定し,得られた薬物動態パラメーターを遺伝子変異情報別に比較検討した。UGT1A8*3変異は検出されなかった。UGT1A8*1*1ホモザイゴート(野生型),UGT1A8*1*2ヘテロザイゴート,UGT1A8*2*2ホモザイゴート(変異型)はそれぞれ8名,16名,15名であった。これらUGT1A8遺伝子多型とミコフェノール酸モフェチル投与量,MPA血中濃度および有害事象発現状況を併せて比較したところ,UGT1A8*1*1ホモザイゴート群とUGT1A8*2*2ホモザイゴート群間において,MPAトラフ血中濃度には有意差を認めなかった。主たる有害事象である下痢発生回数はUGT1A8*1*1では7回に対し,UGT1A8*2*2では19回と差を認めた。また、UGT1A9遺伝子変異は認められず(これは既報告と同様の結果),MPAトラフ濃度と下痢発生頻度は解析不能であった。また,移植前採血サンプルから遺伝子を 抽出し,UGT1A8ならびにUGT1A9遺伝子のメチル化レベル判定を試みた。すなわち、移植前日に患者末梢血より採取し,抽出したDNA に対し,バイサルファイト処理を行い,これをテンプレートとしたUGT1A8メチル化レベルには約70-100%個体差を認めた。しかしながら,UGT1A8と相同性の高いUGT1A10メチル化遺伝子をも検出している可能性も考えられ,今年度はTベクターを用いたUGT1A8メチル化遺伝子の単離を行う予定である。さらには,測定を継続しているミコフェノール酸グルクロナイド体との結果を合わせて解析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺移植患者を対象に,MPA(ミコフェノール酸)血中濃度を測定し,得られた薬物動態パラメーターを遺伝子変異情報別に比較検討した。UGT1A8*1*1ホモザイゴート(野生型),UGT1A8*1*2ヘテロザイゴート,UGT1A8*2*2ホモザイゴート(変異型)はそれぞれ8名,16名,15名であった。これらUGT1A8遺伝子多型とミコフェノール酸モフェチル投与量,MPA血中濃度および有害事象発現状況を併せて比較したところ,UGT1A8*1*1ホモザイゴート群とUGT1A8*2*2ホモザイゴート群間において,MPAトラフ血中濃度には有意差を認めなかった。主たる有害事象である下痢発生回数はUGT1A8*1*1では7回に対し,UGT1A8*2*2では19回と差を認めた。また,UGT1A9遺伝子変異は認められず(これは既報告と同様の結果)、MPAトラフ濃度と下痢発生頻度は解析不能であった。また、移植前採血サンプルから遺伝子を抽出し,UGT1A8ならびにUGT1A9遺伝子のメチル化レベル判定を試みた。すなわち,移植前日に患者末梢血を採取し,抽出したDNA に対し,バイサルファイト処理を行い,これをテンプレートとしたメチル化レベルには約70-100%個体差を認めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,平成28年度から行っているMPA(ミコフェノール酸)血中濃度測定,投与量および有害事象発現状況調査,UGT1A8遺伝子多型調査に加え,UGT1A8,1A9のメチル化レベル判定を継続する。これらの解析結果をまとめ,日本医療薬学会(11月、神戸)あるいは日本薬学会(3月、千葉)で報告行い,その分野の専門家と意見交換したいと考える。 データ解析後は平成30年度中に国際学術誌投稿を目指す。加えて,余力があればUGT1A8と相同性が高いUGT1A10のメチル化頻度解析も併せて行いたい。
|
Causes of Carryover |
H29年度計画とおり使用したが,端数が生じた。H30年度に有効活用する。
|
Research Products
(2 results)