2016 Fiscal Year Research-status Report
mTORシグナルによる胎盤栄養輸送とエピジェネティック制御機構の解明
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16K08408
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
平野 剛 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (00322826)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | mTOR / p70 S6 kinase / ラパマイシン / エベロリムス |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤の栄養素を輸送するトランスポーターの発現は、妊娠の進行に伴って制御されており、栄養感知システムの存在およびエピジェネティック制御機構に着目して本研究を遂行した。 mTORシグナルの下流に位置するp70 S6 kinase(Thr389) のリン酸化は、Western blottingによって評価した。また、mTOR阻害剤(ラパマイシン、エベロリムス等)処理時におけるリン酸化を確認した。 ヒト胎盤絨毛癌由来BeWo細胞を用いて、コントロールとしてDMSO 0.1%添加、mTOR阻害剤処理群として、ラパマイシン(100 nM)、エベロリムス(100 nM)を含むメディウム(FBS15%含有)で1時間処理し、RIPA buffer(PMSF添加)によりcell lysateを作成した。 Total p70 S6 kinaseおよびphospho-p70 S6 kinaseは、分子量60kDa前後に2本のバンドが検出された。今回実験に用いた抗体は、p70 S6 Kinaseとともにp85 S6 kinaseを認識することから、60kDaマーカーの上に検出されるバンドがp85、下のバンドがp70であると考えられた。しかしながら、用いた抗体のデーターシートでは、p70 が70kDa、p85が85kDaとなっており、検出位置に若干のずれが認められた。そこで、電気泳動の条件設定を再確認し、詳細に検討を加えた。 ラパマイシン(100 nM)およびエベロリムス(100 nM)を1時間処理することによって、phospho-p70 S6 kinaseと考えられるバンドは、ほとんど消失した。このことから、各薬液の処理濃度としては、100 nMで十分であると考えられたが、さらに最適化を目指して、薬液処理の濃度および時間等の条件を検討した。また、Total S6 kinaseの発現量は、両薬物によって違いが認められたことから、詳細な密度解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、教育のエフォートは研究のエフォートよりも大きくなってきており、連携および共同研究者の人的な不足は否めない。しかしながら、これまでの研究経験を十分に活用し、時間を効率良く使用することで、本研究全体は緩除であるが、想定内の進捗状況と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト胎盤絨毛癌由来BeWo細胞を用いて、各濃度のmTOR阻害剤を曝露処理する。p70 S6 kinaseのリン酸化を確認した上で、グルタミンの細胞内取り込みに関する速度論的な解析を行い、SNAT3を中心としたアミノ酸トランスポータの発現に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
大学における教員研究費による教育・研究とともに、当該研究を遂行している。したがって、研究期間3年間である本研究経費は、中長期目標に則って、有効かつ計画的に使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養に必要な培養器具および試薬類の消費による不足が予想される。したがって、本研究に用いる多くの消耗品は、定期的、あるいは納入価格を考慮して、一度に大量購入することとなる。最も重要なことは、研究の遂行に応じて、適切かつ計画的に使用することである。
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