2016 Fiscal Year Research-status Report
難治性白血病の幹細胞に存在する抗アポトーシス分子を標的とする治療法の開発
Project/Area Number |
16K08410
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 明 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (80252005)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 幹細胞 / Survivin / Mcl-1 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
成人の難治性の白血病患者を治癒に導くためには、幹細胞レベルで白血病細胞を死滅させること が重要であると考えられる。抗アポトーシス分子 Survivin および Mcl-1 は難治性白血病の幹細胞 において発現が亢進している。これらの分子の発現量を低下させ、かつ休止期にある幹細胞を死滅させることが可能な薬剤を同定、発見することが本研究の目的である。 従来型の抗がん薬の多くのものが、DNA合成阻害、RNA合成阻害を、その主たる作用としており、休止期にある幹細胞に対しては充分な効果を発揮できない。そのため、難治性白血病症例の場合、以前 から存在する通常の抗がん薬による化学療法を繰り返し実施しても、白血病性幹細胞が残存して 最終的には再発すると考えられる。難治性白血病幹細胞で高発現している 1) Survivin, Mcl-1 のそれぞれ、または両方 を低下させ、かつ 2) 休止期にある幹細胞に対して強い殺細胞作用を発揮する薬剤を同定、発見することが本研究の目標であるが、本年度は、Survivin 阻害剤の白血病性幹細胞に対する殺細胞効果の検討をおこなった。白血病細胞としてKBM5を使用した。Survivin 阻害剤として YM155が存在しているが、休止期 (G0/G1)にある白血病性幹細胞に対して殺細胞効果を発揮するのかに関しては、未だに報告されていない。我々は G0/G1 期に誘導した培養白血病細胞KBM5を用いて検討を実施したところ、YM155は強い殺細胞効果を発揮することがわかった。その際には、Mcl-1の発現が強く抑制されることが判明した。Mcl-1はproteasomeによって分解されて発現量が低下すると考えられた。YM155によりSurvivinの発現も低下するが、その抑制効果は弱かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mcl-1 阻害剤 A-1210477の白血病性幹細胞に対する殺細胞効果の検討がまだ実施できていない。また、STAT3/5 阻害剤AG490, AZD1480, Pyrimethamine による白血病性幹細胞に対する殺細胞効果の検討もまだ実施できていない。難治性白血病のモデルとして、代表的な難治性白血病である FLT3-ITD 変異陽性の白血病細胞株 MV4-11を用いる。0.1% FBS存在下に培養を実施してG0/G1期(休止期)に誘導する。この休止期の細胞に対してMcl-1 阻害剤 A-1210477 がどの程度、殺細胞作用を発揮するか検討をおこなう。
|
Strategy for Future Research Activity |
【平成 29 年度の研究計画】 1 HSP90 阻害剤による白血病性幹細胞に対する殺細胞効果とメカニズムについての検討。 我々が、事前に積み重ねてきた実験データでは、HSP90 阻害剤は興味深いことに、Mcl-1 および Survivin の両分子を分解することが可能である。特に Mcl-1 を急 に分解することができる。HSP90 阻害剤としては Geldanamycin および NVP-A YU922 を使用する。1) 休止期にある細胞に対して各薬剤を添加し、どの程度 Survivin および Mcl-1 蛋白の発現抑制効 果が認められるか Western Blot を用いて検討する。2) 休止期の細胞に対して各薬剤を加え、細胞死を測定する。方法としては Flow cytometry でのAnnexin-V/PI assay を使用する。3) Mcl-1 分子に注目して、Mcl-1 分子の発現量が HSP90 阻害剤の感受性規定因子になるかどうか について以下のように検討する。まず。 Mcl-1の cDNA をヌクレオフェクターを用いて細胞内に 導入して Mcl-1 の過剰発現細胞株を作成する。親株、および Mcl-1 の過剰発現細胞株の両者に、HSP90 阻害剤を加えて、薬剤感受性について検討する。 【平成 30 年度の研究計画】 1 HSP90阻害剤による白血病性幹細胞のミトコンドリア障害に関する検討。 Mcl-1 はミトコンドリアの膜に分布して基本的にはミトコンドリアの機能維持に重要な役割を果 たしている。HSP90 阻害剤は、特に Mcl-1 を急 に分解することができるという特徴がある。そこで申請者は、HSP90 阻害剤はミトコンドリア機能を強く障害する可能性を考えている。
|
Causes of Carryover |
必要としていた試薬が当初予想より安価であった。また、実験の進展が予定より遅れたため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に進行が遅れたためできなかった実験を実施するために使用する予定である。
|
-
[Journal Article] Combination of panobinostat with ponatinib synergistically overcomes imatinib-resistant CML cells.2016
Author(s)
Matsuda Y, Yamauchi T, Hosono N, Uzui K, Negoro E, Morinaga K, Nishi R, Yoshida A, Kimura S, Maekawa T, Ueda T.
-
Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 107(7)
Pages: 1029-1038.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-