2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular targeted therapy against leukemia stem cells via inhibition of anti-apoptotic proteins
Project/Area Number |
16K08410
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 明 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80252005)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アポトーシス / Bcl-2 / Mcl-1 / Survivin / 白血病 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、成人の急性骨髄性白血病の治療成績は進歩がみられているが、その完全治癒率は 35%前後にとどまっており、充分に満足できるものではない。難治性の白血病患者を治癒に導くためには、幹細胞レベルで白血病細胞を死滅させることが重要であると考えられる。従来型の抗がん薬の多くのものが、DNA合成阻害、RNA合成阻害を、その主たる作用としており、休止期にある幹細胞に対しては充分な効果を発揮できない。そのため、難治性白血病症例の場合、以前から存在する通常の抗がん薬による化学療法を繰り返し実施しても、白血病性幹細胞が残存して 最終的には再発すると考えられる。 抗アポトーシス分子Bcl-2, Mcl-1およびSurvivinは、難治性白血病の幹細胞において発現が亢進している。これらの分子の発現量を低下させ、かつ休止期にある幹細胞を死滅させることが可能な薬剤を同定、発見することが本研究の目的である。本年度は、Survivin阻害剤であるYM155, Bcl-2蛋白質に対する特異的な阻害剤であるVenetoclaxを用いて検討した。YM155はSurvivinのみならずMcl-1蛋白の発現を強力に抑制した。細胞を G0/G1 期に誘導するため細胞を PBS で洗 浄後, 2%BSA を含む RPMI 培地に浮遊させ培養を継 続した(血清非存在下で培養した)。その後、Venetoclaxを添加し細胞死の誘導について検討した。対象実験として、S期特異的な薬剤ara-Cを添加して細胞死の誘導について検討した。その結果、ara-Cは、まったく効果を示さなかったが、Venetoclaxは強い細胞死誘導活性をしめした。以上より、Venetoclaxは、 静止期の細胞にも効果を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レンチウイルスベクターを用いた実験が未だ不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はin vitroの研究であるが、対象とする白血病細胞株を増やして検討する。またレンチウイルスベクターを用いて、Bcl-2, Mcl-1, Survivinを安定的に高発現する細胞株を作成する。抗アポトーシス分子に対する選択的な阻害剤であるベネトクラクス、S63845などの阻害剤を、これらの細胞株に加えて検討していく。
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Causes of Carryover |
レンチウイルスベクターの作成が技術的に簡単ではなく、時間を要している。このため、研究の進行が遅れている。2019年度には実験を成功させる予定である。
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