2017 Fiscal Year Research-status Report
アントラサイクリン系抗がん剤と活性酸素との関係;その解明のための情報の再構築
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16K08420
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
水谷 秀樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80397504)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | doxorubicin / アポトーシス / ROS / PARP |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、報告者はトポイソメラーゼ阻害剤であるTAS-103並びにdoxorubicinによるアポトーシスにDNA修復酵素であるPARP (poly ADP ribose polymerase)の活性化によるROSの関与を明らかにした。その際の実験に用いたPARP阻害薬は4-amino-1,8-naphthalimide, 6(5H)-phenanthridinoneであり、いわゆるPARPに対する選択性が低い第一世代の阻害薬であった。今回、PARPに対する選択性がより高い新世代のPARP阻害薬であるolaparib, veliparib 並びにPRAPの基質であるNAD+の生合成を阻害するFK866 (daporinad / APO866) を用いTAS-103とdoxorubicinの細胞毒性に対する影響について検討した。実験はヒト前骨髄性白血病細胞であるHL-60細胞を用い、薬物を作用させた。細胞毒性の評価はトリパンブルーによる色素排除試験法により行った。結果として、まずTAS-103とdoxorubicinの至適時間は24時間、至適濃度はTAS-103が0 - 0.5 μM、doxorubicinが0 - 5 μMであった。次に併用薬であるolaparib, veliparib, FK866の有効濃度(阻害活性があり無毒性)を決定したところ、olaparib, veliparibでは1 μM, 10 μM (24時間)、FK866では10 nM(48時間), 1 μM(24時間)であった。さらに併用効果について検討したところ、TAS-103とdoxorubicinの細胞毒性に対するolaparib, veliparibの併用効果は見られなかった。また、TAS-103とdoxorubicinの細胞毒性に対するFK866の併用効果はTAS-103で見られなかったが、doxorubicinでは観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、アポトーシスとROS/PARPとの関係に重点を置いたため、進捗状況に遅れが見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では同じPARP阻害薬であるolaparib, veliparibの細胞毒性軽減効果は見られず、NAD+生合成阻害薬であるFK866に細胞毒性増強効果は見られた。類似の作用をもつ薬でありながら、今回観察された結果はこれまでの研究データと異なる。したがって、他のアントラサイクリン系の薬剤による更なる検討が必要である。
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Causes of Carryover |
(理由) 助成金の使用用途として、実験試薬の購入を予定していたが、前年度に購入したものでほぼ間に合ったためである。 (使用計画) 次年度は、今年度購入しなかった実験試薬の購入を予定している。
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[Journal Article] Pirarubicin, an anthracycline anticancer agent, induces apoptosis through generation of hydrogen peroxide.2017
Author(s)
H. Mizutani, S. Hotta, A. Nishimoto, K. Ikemura, D. Miyazawa, Y. Ikeda, T. Maeda, M. Yoshikawa, Y. Hiraku, S. Kawanishi
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 37
Pages: 6063-6069
Peer Reviewed / Open Access
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