2016 Fiscal Year Research-status Report
神経発達障害に伴う精神疾患の脳層構造異常とPGE2-EP1シグナル伝達系の関与
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16K08421
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
野田 幸裕 名城大学, 薬学部, 教授 (90397464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 陽 名城大学, 薬学部, 助教 (00637671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経発達障害 / 精神疾患 / モデル動物 / リスク因子 / プロスタグランジンE2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経発達障害仮説に基づいた精神疾患の発症機序の解明を目的として、精神疾患発症や病態に関与する遺伝的要因あるいは環境的要因を負荷した精神疾患モデル動物における精神機能への関与について検討した。 ①精神疾患の発症・病態に関与しているGLAST(glial high-affinity glutamate transporter)の高次行動機能における役割を検討した。その結果、GLAST遺伝子欠損マウスおよび新生仔期dl-threo-β-benzyloxyaspartate(DL-TBOA:GLAST阻害薬)投与マウスの成体期において、視覚的認知機能障害や海馬神経層の菲薄化および大脳皮質神経細胞の萎縮が認められた。しかし、成体期にDL-TBOAを投与してもそのような変化は認められなかった。 ②精神疾患の発症リスク要因である母体のウイルス感染(合成二本鎖RNAアナログのPoly I:C:polyriboinosinic-polyribocytidilic acid)投与)、出産時の低酸素脳症(低酸素チャンバーへの暴露)、あるいは育児放棄(母体マウスと新生仔マウスの分離)の高次行動機能に与える影響について検討した。その結果、生後2日齢のマウスにこれらの環境的要因を負荷すると、共通して脳内PGE2量の増加が認められた。生後2~5日間、PolyI:Cを投与したところ、成体期の社会性行動、物体認知機能、および情報処理能力の低下が認められた。新生仔期におけるGLASTの機能低下や免疫異常は、発達過程における脳の組織化学的変化を惹き起こし、成体期の視覚的認知機能を障害するものと示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経発達障害仮説に基づいた精神疾患の発症機序の解明を目的として、従来の治療薬(抗精神病薬など)とは 作用機序が異なる因子を標的とした新しい診断・予防や治療法の開発を目指している。 平成28年度は、マウスの神経発達過程において遺伝的要因あるいは環境的要因を負荷した場合の精神機能に与える影響について検討したところ、GLAST遺伝子の欠損や周産期環境的要因の負荷は、成体期の視覚的認知機能障害や脳の組織化学的変化を惹き起こすことを見出した。 現在、精神疾患患者とモデル動物の血液あるいは脳サンプルを用いてDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、共通して発現変化する新規精神疾患関連分子の探索中であり、モデル動物での行動学的・組織化学的変化におけるPGE2の関与や脳層構造形成に関する研究は一部検討中である。したがって、研究計画の達成度は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
精神疾患患者やモデル動物において見出された関連遺伝子とPGE2-EP1受容体シグナル伝達系との関連性や他の因子・要因を共暴露することにより、行動変化が顕在化もしくは重篤化するかどうか、脳の層構造形成過程に影響をおよぼすかどうかを検討する。以上、得られた結果は順次取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
モデルマウスでのDNAマイクロアレイ解析を次年度も行うため、解析用キットや関連試薬などは高額であるため、本年度の助成金の一部を繰り越し、次年度購入する使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、基礎研究や臨床研究遂行のための消耗品や実験動物の購入に充てる予定である。
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Research Products
(35 results)
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[Journal Article] An analysis of behavioral and genetic risk factors for chemotherapy- induced nausea and vomiting in Japanese subjects2016
Author(s)
Naoki Mukoyama, Akira Yoshimi, Aya Goto, Haruka Kotani, Kazuhiro Ishikawa, Noriko Miyazaki, Masayuki Miyazaki, Kiyofumi Yamada, Fumitaka Kikkawa, Yoshinori Hasegawa, Norio Ozaki, Yukihiro Noda
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Journal Title
Biol. Pharm. Bull.
Volume: 39
Pages: 1852-1858
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Resequencing and association analysis of six PSD-95-related genes as possible susceptibility genes for schizophrenia and autism spectrum disorders2016
Author(s)
Jingrui Xing, Hiroki Kimura, Chenyao Wang, Kanako Ishizuka, Itaru Kushima, Yuko Arioka, Akira Yoshimi, Yukako Nakamura, Tomoko Shiino, Tomoko Oya-Ito, Yuto Takasaki, Yota Uno, Takashi Okada, Tetsuya Iidaka, Branko Aleksic, Daisuke Mori, Norio Ozaki
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 27491
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Mutation screening of GRIN2B in schizophrenia and autism spectrum disorder in a Japanese population2016
Author(s)
Yuto Takasaki, Takayoshi Koide, Chenyao Wang, Hiroki Kimura, Jingrui Xing, Itaru Kushima, Kanako Ishizuka, Daisuke Mori, Mariko Sekiguchi, Masashi Ikeda, Miki Aizawa, Naoko Tsurumaru, Yoshimi Iwayama, Akira Yoshimi, Norio Ozaki et al
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 33311
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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