2016 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境でのビスホスホネート薬の作用解析に基づく食道がん新規治療標的の探索
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16K08423
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西口 工司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80379437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 雅之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90372739)
峯垣 哲也 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10549306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道癌 / ビスホスホネート / 微小環境 / 低酸素 / 治療標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道がんの治療において、外科的処置後にQOL が不良となる場合が多く、化学療法の効果も限定的であるため、安全かつ有効な新規治療法や治療薬の登場が待ち望まれている。研究代表者らは、骨吸収抑制薬として臨床使用中のビスホスホネート系薬剤 (BPs) が食道がんに対する抗腫瘍効果を有することを明らかにするとともに、がん微小環境の相違がその抗腫瘍効果に影響する可能性を見出している。そこで本研究では、癌微小環境におけるBPsの作用解析をもとに食道がんの新規治療法につながる新規治療標的の創出を最終目標として検討を実施した。 まず、BPsの細胞毒性が、正常酸素下と比較して低酸素環境下において、有意に増強することを観察した。また、ゲラニルゲラニオール (GGOH)の共存は正常酸素、低酸素の両条件におけるゾレドロン酸 (ZOL) の細胞毒性をほぼ完全に消失さることが認められた。さらに、BPsと同様にメバロン酸経路を阻害するシンバスタチン (SIM)およびアトルバスタチン (ATO)の細胞毒性も低酸素下で有意に増強した。一方で、ZOLは低酸素誘導因子 (HIF)-1の発現量に影響しなかった。これらの知見を介して、低酸素環境下によるBPsの食道癌細胞毒性増強効果にメバロン酸経路の阻害が強く関与していることが示唆された。 得られた知見は、治療薬候補に乏しい食道がんの新規治療薬の開発に対して有益な情報を付与することになるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、低酸素環境下によるBPsの細胞毒性増強効果に対するメカニズムについて検討を進めており、研究課題は概ね順調に遂行できているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて、検討を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品等の物品については計画通り購入できた。しかしながら、一部の物品については、値引きや同等で安価な物品を購入することができたため、次年度使用額を生じることとなった。なお、研究課題の遂行に支障は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、物品費として使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)