2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模データを用いた疾患特異的な副作用解析と科学的根拠にもとづく対策法への応用
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16K08424
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30359822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 義孝 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60437241)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 薬剤性腎障害 / 認知症 / ポリファーマシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では副作用発現と原疾患・併発疾患との関わり、併発する副作用との関連性について副作用データベース解析及び臨床研究から統計的に明らかにする。さらに得られた情報について基礎研究によってメカニズムの解明を目指す。本年度は、昨年度作成した解析用のデータベース(医薬品医療機器総合機構が公開している最新の副作用データ)をもとに、Microsoft Accessを用いて引き続き網羅的な解析を進めた。昨年度より継続している薬剤性腎障害と併発疾患との関連については、原疾患などが薬剤性腎障害の発現及び転帰に関与するとの結果が得られており、本年度はこれら研究成果を学会において報告したが、さらに解析を進めた成果を来年度に発表予定である。また薬剤性肝障害の転帰に及ぼす影響についても解析を進め、薬剤性肝障害の転帰が原因薬剤に拠って異なることなどを見出した。 洛和会音羽病院では研究協力者である三浦と連携して、認知症や糖尿病などの慢性疾患における薬物治療において発生する有害事象について後方視的な臨床研究を共同で実施しており、一部成果について学会などで報告した。多剤併用による高齢者の有害事象発現については本年度より本格的に解析を開始しており、洛和会音羽病院での情報を収集・解析中である。 副作用発現メカニズムの解明を目的として、モデル細胞を用いた毒性発現研究を進めてきた。腎モデル細胞(HEK293, MDCK, RPTEKなど)を用いた薬剤性細胞障害の検討において、抗がん剤による尿細管上皮モデル細胞に対する毒性が確認され、今年度は一部分子メカニズムについて明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は「副作用データベースの解析システムの構築」、「臨床における副作用調査」および「実験系における副作用メカニズム解析」を予定・計画した。副作用データベースの解析システムの構築について:データベースの構築とプログラムベースでの解析については、おおむね当初計画通りに進行している。薬剤性腎障害については既に学会において成果報告を行い、論文作成中である。また薬剤性肝障害についても原因薬物との関連性について見当を進めた。 臨床における副作用調査について:研究代表者が診療従事者となっている洛和会音羽病院における後方視的解析は順調に進行している。認知症および糖尿病に関する研究成果は既に学会において報告している。また次年度以後、国際学会での発表も予定している。 実験系における副作用メカニズム解析について:腎モデル細胞(HEK293, MDCK, RPTEKなど)を用いた副作用・毒性研究を進めており、毒性発現への輸送体関与などが明らかになりつつあり、ほぼ当初予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースを用いた副作用解析についてはこれまでに得られた知見について学会や論文などでの公表をおこなう。洛和会音羽病院での臨床研究については、これまでに進めてきた糖尿病や認知症などの慢性疾患について論文化をすすめ、さらに臨床での問題解決策に資する研究計画を立案する。加えてがん化学療法の副作用軽減を目的とした研究を既に開始しており、発展させる。実験系を用いた副作用メカニズムの解明については従来のモデル細胞を用いた検討を継続し、メカニズムの解明に発展させる。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通り研究を遂行したが、一部学会(複合領域)などの出張について学内予算や他の研究費からの補助を受けたため、一部が次年度に繰り越された。この繰り越し予算については平成30年度の研究において、当初目的に従って、より研究を進めるために有効に活用する。
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