2016 Fiscal Year Research-status Report
副作用情報の共有及びフィジカルアセスメントの技術向上の為の症例体験システムの構築
Project/Area Number |
16K08430
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
徳永 仁 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60369171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 徳人 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20369169)
佐藤 圭創 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (00315293)
緒方 賢次 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90509580)
瀬戸口 奈央 九州保健福祉大学, 薬学部, 助教 (50551305)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フィジカルアセスメント / 症例 / ICT / e-ラーニング / 教材 / 聴診 / 副作用 / 体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、副作用情報の共有およびフィジカルアセスメントの技術向上の為の症例体験システムの構築を目指している。平成28年度は、症例体験システムの構築を行うための情報収集を目的に、様々な研修会や学会に出席し、フィジカルアセスメントに関する教授法をはじめICTを活用したe-ラーニングシステムについて理解を深めた。また、新たなフィジカルアセスメント学習教材として聴診器を通しての聴診体験が可能な学習環境の提供を行った。さらに症例体験システムを構築するために薬剤師が実際に体験した副作用情報を共有できる新たな情報収集システムの開発を行った。 (1)症例体験システムの構築を行うための情報収集:様々な研修会や学会に出席し、e-ラーニングシステムを開発している専門家や新たな教授法を実践している教員との意見交換を行った。それにより症例体験システムの構築に向けて具体的な構想を練ることが出来た。 (2)聴診器を通しての聴診体験が可能な学習環境の提供:現在、聴診音に関する学習では患者シミュレータの使用した聴診器からの学習を除いて、スピーカーまたはヘッドホンからの学習である。これらの聴診音は、実際の聴診器からの音と乖離がある。今回、聴診音について聴診器からの実際の学習を可能にする専用スピーカーの開発に一部協力し、聴診器を通しての聴診体験が可能な学習環境を整えた。 (3)薬剤師が実際に体験した副作用情報を共有できる情報収集システムの開発:日本病院薬剤師会が作成した3種類のプレアボイド報告書と医薬品医療機器総合機構が作成した医薬品安全性情報報告書を参考に独自の副作用の発見または薬効の確認に関する症例情報用紙を作成した。症例情報用紙はフィジカルアセスメントに関する約30個の項目からなる。この用紙は専用ホームページ上でダウンロード可能にする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の平成28年度計画では、(1)副作用発現・症状変化をパソコンまたは携帯型端末で再現するバーチャル患者のシステム構成の確立、(2)専用サーバー確保による入力・体験・学習システムの構築、(3)副作用発現・症状変化を再現するバーチャル患者のシナリオ作成・入力・確認を予定していた。しかしながら、情報収集と意見交換に追われ、システム構成の確立には至らなかった。また、システム構成の確立には当初予定していた研究費とは桁が異なる費用を要することも明らかになった。よって、現在、予算の範囲で可能なシステムを模索している状況である。ただし、新たなフィジカルアセスメント学習教材として聴診器を通しての聴診体験が可能な学習環境の提供を行うことが出来た。今後は、この学習環境を有意義に活用するための戦略についても模索をしたい。また、バーチャル患者のシステム構成の確立には至らなかったが、症例体験システムを構築するために薬剤師が実際に体験した副作用情報を共有できる新たな情報収集システムの開発までは行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)副作用発現・症状変化をパソコンまたは携帯型端末で再現するバーチャル患者のシステム構成の確立:本教授システムの構成確立にあたっては、これまでに我々が構築してきた“バーチャルフィジカルアセスメント”のシステム構成を参考とする。また副作用を体験した薬剤師がその他の薬剤師に対して具体的な情報共有を可能にするために、現システム以外の各種バイタルサインの設定を行い、バーチャル患者のフィジカルアセスメントを様々な観点から可能にするシステム構成を目指す。すなわちICTを駆使して、視診なども意識した様々な症状や表情の再現に対応可能な患者アバター作成システム、脈拍・呼吸数の任意設定、その他にも体温、意識レベルやSpO2などにも対応できるような新たなシステム構成を目指す。そして、これらを基に実際に薬剤師が容易にかつ詳細に副作用情報が入力でき、その他の薬剤師がバーシャル患者をとおして情報共有が可能なシステム構築の確立を行う予定である。 (2)専用サーバー確保による入力・体験・学習システムの構築:ここではサーバーは本学にて所有をするのではなく、アプリ開発業者に委託をしサーバーを確保する予定である。しかしながら、(1)にて考案したシステム構成の要望については、これまでの経験から我々にしか出来ないものであり、責任をもって考案する。考案後、入力・体験・学習システムの構築を行う予定である。併せて、学習した結果を記録し履歴情報も残すことにより、各評価の難易度の表示機能の追加、さらに難易度に合わせた補足教材も作成する予定である。 (3)副作用発現・症状変化を再現するバーチャル患者のシナリオ作成・入力・確認:これまでに我々は各都道府県薬剤師会、日本薬剤師会または日本病院薬剤師会などとの共催でフィジカルアセスメント研修会を実施してきた。これらのネットワークを最大限に活用し、薬剤師への課題作成を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
直接経費(その他)として予算を組んでいた「ホームページ制作・年間更新費用」と「バーチャルペイシェント作成費用」が、進捗状況の遅れにより使用出来なかった。そのために次年度使用額が大幅に生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究計画の遅れを取り戻し、副作用発現・症状変化をパソコンまたは携帯型端末で再現するバーチャル患者のシステム構成の確立を行い、専用サーバー確保による入力・体験・学習システムの構築し、副作用発現・症状変化を再現するバーチャル患者のシナリオ作成・入力・確認が可能なシステムを構築する予定である。これにより、ホームページ制作とバーチャルペイシェントの作成を可能にする。
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