2016 Fiscal Year Research-status Report
眼疾患患者の微量な眼房水のミクロ環境を推察するための簡易型診断法の開発
Project/Area Number |
16K08432
|
Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
高村 徳人 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20369169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 仁 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60369171)
緒方 賢次 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90509580)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 眼房水中アルブミン / タンパク結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、眼疾患患者の微量な眼房水中のミクロ環境を推察するための簡易型診断法の開発を目指している。本診断法はタンパク結合性の高い点眼薬の効果的な投与法や病態の重症度の分類等にも利用できると考えられる。 本診断法の構築のためには人とウサギのアルブミンの種差の検討が必要であり、それらのアルブミンに利用できる最適なサイトプローブやアルブミン結合性の高い点眼薬の検索・選定を行う必要があった。その結果、サイトⅠプローブとしてはフェニルブタゾン、バルサルタン、ワルファリン等を、そしてサイトⅡプローブとしてはフルルビプロフェン、ジクロフェナク、スプロフェン等を使用できることが分かった。また、タンパク結合性の高い点眼薬として、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナックとその代謝体アンフェナク等が使用できることが分かった。人眼房水は微量であるため、種々のサイトプローブは高圧HPLCでなるべく多くの種類が同時定量できることが必要不可欠である。現在、組み合わせにより2種類のサイトプローブは同時測定できるようになったが、これでは眼房水中のミクロ環境を推測するには不十分である。現在、3種類以上のサイトプローブの同時定量のための移動相の検討を急いでいる。これを解決しないと人とウサギのアルブミン末で調製した疑似眼房水への種々の内因性物質の影響を調べることが出来ない。 現在、多種類のサイトプローブの同時定量が難しい状況であるが、種々の点眼薬の人とウサギのアルブミンへの結合能の検討はできるので、これらを先にを行っている。 我々はここまでの実験データをまとめ日本薬学会第137年会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
眼疾患患者の微量な眼房水中のミクロ環境を推察するための簡易型診断法の開発には、少なくとも3種類以上のサイトプローブでアルブミン分子上の様々な結合サイトの結合性を高圧HPLCで同時定量できることが必要不可欠となる。したがって、種々のサイトプローブの同時定量法が確立できない現状では、例え、人とウサギのアルブミン末で調製した疑似眼房水への種々の内因性物質の影響を2種類のサイトプローブで調べたとしても、その環境を推察するための情報量としては極めて少なくなってしまう。したがって、現状では眼房水中を構成する種々の内因性物質の影響を見極めることは難しい。しかし、点眼薬の人とウサギのアルブミンへの結合能の差異についての検討はそれぞれの点眼薬を同時定量する必要がないため、点眼薬を先に行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
簡易型眼房水中診断法の構築のための人とウサギのアルブミンの種差の検討(疑似眼房水)。1)人とウサギのアルブミン末で調製した疑似眼房水への種々の内因性物質の影響。実験方法:少なくとも3種類以上のサイトプローブの高圧HPLCで同時定量を可能にし、人とウサギの純粋なアルブミンを緩衝溶液で一定濃度に調製した疑似眼房水に対し3種類以上のサイトプローブおよび内因性物質(脂肪酸やアスコルビン酸等)をそれぞれ添加し、それらの試料を限外ろ過し、そのろ液をHPLCにて測定し、各結合サイトプローブの遊離率の変動をみる。 眼房水中の内因性物質の迅速定量法の検討。1)眼房水中の種々の結合に関与する重要な内因性物質の迅速定量の検討。実験方法:HPLCおよび生化学検査装置等を用いて、ウサギや眼疾患患者の眼房水中の内因性物質である種々の脂肪酸やアスコルビン酸等の迅速な微量定量法を検討する。 簡易型眼房水中診断法の構築のためのウサギ眼房水を用いた検討(ウサギ眼房水)。1)個々の正常ウサギ眼房水に対する本診断法の妥当性の検証。実験方法: 正常な個々のウサギ眼房水中の種々の内因性物質の濃度を実際に測定する。次に、先に作成したサイトⅠあるいはⅡのプローブ遊離率とサイトⅠあるいはサイトⅡに結合する内因性物質の濃度との相関図から導かれる個々のウサギ眼房水中の内因性物質濃度と実際に測定した値とが近似となるか検証する。それをもとに、それぞれのサイトプローブ遊離率と内因性物質濃度の相関図に補正を加え精度を高める。
|
Causes of Carryover |
人眼房水は微量であるため、種々のサイトプローブを高圧HPLCで少なくとも3種類以上同時に定量できることが必要である。しかし、その定量法を確立できなかったために、本年行うべき人とウサギのアルブミン末で調製した疑似眼房水への種々の内因性物質の影響を調べることが出来なかった。この分の実験を次年度以降に回したため、見積もりより低い金額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
高圧HPLCにおいて、種々のサイトプローブの3種類以上同時定量の見込みはついているため、その実験を遂行するために必要な種々の物品を物品費に加算して使用する。
|
Research Products
(2 results)