2016 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of regulating mechanism for development and differentiation of special cardiomyocytes
Project/Area Number |
16K08443
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小久保 博樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (10270480)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉栖 正生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (20282626)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 特殊心筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋の分化の過程、すなわち未分化性の心臓前駆細胞がいかにして心房と心室を構成する固有心筋と静脈洞の一部で拍動を制御する洞房結節を構成する特殊心筋へと分化するのか、その分子機構を理解することは再生医療技術の発展において重要な鍵となる。本研究では、これまでに新規に同定した、将来流出路、左心室、心房、静脈洞を構成するための心臓前駆細胞に着目して、未分化性を維持する、もしくは二つの性質の異なる心筋へと分化するために必要な転写因子やシグナル分子を明らかにすることで、心筋分化の分子機構を解明することを目的として研究を進めている。 本年度は、Sfrp5の発現が維持されている細胞が洞房結節を含む刺激伝導系を構成する細胞へと分化することを明らかとしてきた。Mesp1発現系譜細胞は刺激伝導系を構成する細胞へとほとんど寄与しないとの報告が既にあることから、Mesp1-CreマウスとSfrp5-YFPマウスとレポーターマウスを掛け合わせ、Mesp1発現系譜細胞群とSfrp5の発現細胞と比較したところ、Mesp1発現系譜細胞が発現していない刺激伝導系を構成する細胞にSfrp5の発現が維持されていることが明らかとなった。Mesp1は原腸陥入によって形成された中胚葉のうち初期に一過的に発現することから、比較的後期に一過的に発現する遺伝子のエンハンサーに連結したCre (Enhancer X-Cre)が挿入されたトランスジェニックマウスを用いた細胞系譜実験を行ったところ、静脈洞及び心房へと分化する細胞へと寄与することが明らかとなった。この観察は、原腸陥入によって形成される時期によって遺伝子の発現が異なっており、中胚葉の大まかな前後の区画化なされ、心臓領域が決定された後も、その前後軸の区画化が心室と心房・静脈洞の区画化として反映されていると推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bmpの心筋分化への影響について検討するため、Bmpシグナルの因子であるSmad4を条件付きでノックアウトできるSmad4ーfloxedマウスを入手し、掛け合わせを行ってホモのマウスを得ようとしているが、生まれにくいようで得られていない。引き続き掛け合わせを続けるが、当初計画した解析に結びつけられるのは困難な状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の観察から、心室心筋と心房・静脈洞を初期の段階で分けることが可能となったと考えられる。この知見を元に、Enhancer X-CreマウスとSfrp5-YFPマウスとレポーターマウスを掛け合わせた桑実胚より、Sfrp5の発現を黄色蛍光タンパクで標識し且つ心房・静脈洞に寄与する細胞系譜を赤色蛍光タンパクでモニターできるES細胞の樹立を試みる。また、心房・静脈洞に寄与する前駆細胞群の性質を明らかにするため、同様のマウスの掛け合わせより各胎生期の標識細胞を単離し、RNAを抽出し、cDNAを作成した後にRNA-seqを行う。RNA-seqの情報をもとに、Sfrp5の発現が維持される機構を追求していく。これによって、刺激伝導系に分化するための分子機構を追求する。そして、その知見をもとに、ES細胞で特殊心筋を効率的に分化誘導させる、もしくは特殊心筋を効率的的に選別するための技術の開発に結びつけたい。
|
Research Products
(11 results)