2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな疼痛モデルを用いた痛みの発生メカニズム・伝達経路の解明
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16K08451
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥田 洋明 金沢大学, 医学系, 准教授 (40453162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疼痛 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的としては、各種侵害刺激に対しての反応に差異が認められるMlc1-tTAマウスの解析を通じて、その疼痛関連行動と原因遺伝子を解析することにより、新たな疼痛発生・伝達メカニズムの解明を目指している。 昨年度はMlc1-tTAマウスの様々な疼痛刺激に対する反応を検討した結果、Mlc1-tTAマウスでは機械刺激に対する感受性の低下と炎症反応の抑制が起こっていることが認められた。また、トランスジーンの染色体への挿入位置の同定を次世代シークエンサーを用いて解析した結果、染色体8qB1.1および 11qDの領域にトランスジーンの挿入が予想された。 本年度は、トランスジーン挿入位置の遺伝子の発現をReal time RT-PCR法を用いて詳細に解析した結果、染色体8qB1.1の領域の3つの遺伝子の発現が欠損していることが判明した。また、Mlc1-tTAマウスでは炎症反応の減弱がみられたため、免疫応答、特にマクロファージ系やT細胞に何らかの異常があると推察される。そこで、マウス骨髄における遺伝子発現をマイクロアレイを用いて解析した結果、上記3つの遺伝子の発現が欠損していること、さらにMlc1-tTAマウスではある特定のシグナルに関与する遺伝子の発現が低下していることが認められた。以上の結果より、トランスジーンにより8qB1.1の領域の3つの遺伝子の発現が欠損することにより、機械刺激に対する感受性の低下と炎症反応の抑制が起こっている可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定としては、トランスジーンにより発現が変化する遺伝子の同定およびマイクロアレイによる遺伝子発現の解析を計画していたが、おおむね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定としては、最初に3つの遺伝子の発現をIn-situ hybridization法もしくは免疫染色を用いて全身の発現部位や細胞、発現時期などを詳細に調べる。特に疼痛モデルや炎症誘発時において皮膚から大脳皮質感覚野までの疼痛の伝達経路と、骨髄や胸腺などの免疫に関与する臓器に注目して解析する。 また、炎症反応の低下が認められたことより、骨髄マクロファージを用いて3つの遺伝子の欠損によりどの様なシグナルが変化しているのかを詳細に解析する。最初に野生型と比較してどのような表現型の変化がみられるのかを検討する。検討する表現型としてはLPS刺激によるサイトカインの発現や貪食能、遊走能を比較検討する。差が得られた表現型に対して3つの遺伝子のどれが関与しているか、RNAiを用いて解析する。その後、どの様なシグナルが関与しているかを解析する。 上記2つの解析を通して度同定された3つの遺伝子のうち、最も疼痛伝達および炎症反応に関与していると考えられる遺伝子のノックアウトマウスを用いて解析を行う。ノックアウトマウスがすでに存在する場合は譲渡もしくは購入する。作製する場合はCRISPR-Cas9法によるゲノム編集を用いて作製する。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬の購入を次年度に見送ったため。
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