2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms underlying differentiation of intestinal M cells
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16K08457
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 俊介 北海道大学, 医学研究院, 助教 (40444525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸管免疫 / M細胞 / パイエル板 / IgA / 離乳期 |
Outline of Annual Research Achievements |
M細胞で発現する転写因子Sox8の解析を引き続き進めた。イメージサイトメトリー法によって、Sox8はM細胞の分化初期から後期まで一定の発現量を維持していた。一方で、転写因子SpiBは分化初期に発現が強く、その後発現が減少していた。これらの結果からSox8とSpi-Bの機能は異なると想定された。トランスクリプトーム解析ではSpi-B欠損マウスのパイエル板濾胞上皮において低下する分子が359種であったのに対して、Sox8では114種であった。そのうち41の遺伝子が共通していた。共通する遺伝子にはM細胞後期に発現するGP2が含まれていた。 Sox8欠損マウスではGP2の発現低下に加えて、成熟度を示す①陰窩からの距離、②物質の取り込み能の低下が認められたため、Sox8はM細胞の成熟に必要な分子であると考えられた。またSpi-B欠損マウスにおいてもSox8陽性細胞が認められたこと、逆にSox8欠損によってもSpi-Bが認められたこと、Sox8,Spi-Bのプロモーター領域に転写因子RelBが結合することから、両者はRelBによって制御されていると考えられた。 クロマチン免疫沈降法によってSox8はGP2のプロモーター領域に結合すること、Sox8強制発現がGP2のプロモーター領域の活性化を誘導することからSox8はGP2を直接制御していることが明らかになった。一方でSpi-BはGP2プロモーター領域への結合が認められなかった。 Sox8欠損マウスではパイエル板の抗体産生に関わるリンパ球数の低下が認められた。さらに離乳期における分泌型IgA抗体産生が低下していた。マウス新生仔は母乳に含まれるIgAにより腸管免疫系が保証されているが、離乳後は空白時間を生じさせないため自ら分泌型IgA抗体を産生する必要がある。Sox8によるM細胞の成熟が離乳期のIgA抗体産生の確立に重要であることを示している。
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[Book] マウス組織アトラス2018
Author(s)
岩永 敏彦, 小林 純子, 木村 俊介
Total Pages
168
Publisher
医学書院
ISBN
978-4-260-03433-3
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