2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08470
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江角 重行 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (90404334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜崎 禎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60433033)
西村 方孝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80613398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視床下部 / GABAニューロン / 神経発生 / 臨界期 / 神経回路形成 / 摂食 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は視床下部摂食中枢神経回路の補償機構や臨界期の分子機構を明らかし、その破綻によって摂食障害が生じるメカニズムを解明することを目的として研究を進めている。これまでの報告で大脳皮質の発達過程における臨界期可塑性にはGABAニューロンが重要である(Hensch,2005, Nature Rev Neurosci.) (Katagiri H et al,2007, Neuron)ことがわかっている。そこで、我々は視床下部で見られる神経回路の補償機構や臨界期においても、GABAニューロンが関係していると考え、平成30年度は、視床下部摂食中枢の補償機構を制御する神経回路におけるGABAニューロンの機能を探るため遺伝子改変マウスを用いて解析を行った。具体的には、GABAニューロンでGABAを放出するために必須であるvesicular GABA transporter (VGAT)を floxed-VGAT マウスとNkx2-1-Cre; floxed-VGATマウスを組み合わせ、大脳皮質と視床下部のみ特異的にGABAニューロンのGABA分泌を停止させて解析を行った。その結果、VGAT欠損マウスで認められる口蓋裂や臍帯ヘルニアは生じないにも関わらず、生後2日目には全て死亡することが明らかになった。生後間もない時期には、全てのマウスの胃にミルクが確認できることから、ホモマウスの致死の原因は視床下部のGABAニューロンの機能不全によると考られる。そこで、その原因を探るため生後0日目のNkx2-1-Cre; floxed-VGAT ホモ/ヘテロマウスの視床下部のRNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて変動する遺伝子を解析した。その結果、"neuron development", "axon guidance"などに関わる分子群に変動が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年4月の熊本地震で研究室が甚大な被害を受け、研究施設や機器の復旧にかなりの時間を費やす必要があった。さらに、地震の影響で、飼育していた遺伝子改変マウスや、実験途中の試料が一部使用不能になってしまったため、研究に遅れが生じた。平成30年度に行った研究では、Nkx2-1-Cre; floxed-VGATマウスが生後2日目に死亡することから、視床下部摂食中枢神経回路にGABAがどのような機能を果たしているか解析することができなかったが、次世代シークエンサーを用いて変動する遺伝子を解析することができたため、視床下部摂食中枢神経回路形成に関与する分子群候補を選別することができた。今後は、変動が認められた遺伝子群と摂食行動の関連や、時期特異的に視床下部のNkx2-1系譜細胞の一部をGABA分泌不全にできるNkx2-1CreERマウスを用いて、摂食に関わる影響を解析することで、視床下部摂食中枢の臨界期と補償機構の解明を目指すことを視野に入れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、臨界期形成にはGABAニューロンが重要な役割を担っていることがわかっている。(Morishita H, Hensch TK. 2008,Cur. Opi. in Neurobiol.) また、最近の報告では、視床下部のストレス応答にGABAニューロンの可塑性が強く関係している(Inoue W et al.,2013, Nat. Neurosci.)ことが示されている。平成30年度は、視床下部で見られる神経回路の補償機構や臨界期に、GABAニューロンも関係していると考え、生後0日目の視床下部でGABA分泌を停止させたNkx2-1-Cre; floxed-VGAT ホモ/ヘテロマウスのRNAを用いて次世代シークエンサー解析を行った。その結果、"neuron development(RPGR, CCK, NR4A2, CXCL12, TBR1), "axon guidance(EPHA5, ROBO1, UNC5C, CXCL12, SLIT2)"などの遺伝子群に変動が認められた。興味深いことに、これらの候補には臨界期制御に関わる可能性のある遺伝子群が含まれていた。今後は、この変動が認められた遺伝子群の発現動態を免疫組織化学染色やリアルタイムPCR, In situ Hybridization(ISH)法によって解析することで、補償機構に関わる分子や領域を明らかする。さらにc-fosなどとの免疫組織化学染色で摂食行動との関連を解析し、平成31年度中に論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年4月に起きた熊本地震のため、熊本地震で研究室が甚大な被害を受け、研究施設や機器の復旧にかなりの時間を費やす必要があった。さらに、地震の影響で、飼育していた遺伝子改変マウスや、実験途中の試料が一部使用不能になってしまったため、研究に遅れが生じた。また、平成30年度に研究成果を査読論文に投稿予定であったが、実験計画の遅れなどから、平成31年度に投稿することになった。このため論文投稿、公開にかかる費用や動物飼育費用に繰り越した予算を使う予定である。
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Research Products
(4 results)