2016 Fiscal Year Research-status Report
白脾髄樹状細胞によるアロT細胞の貪食とアロ抗体産生誘導機構
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16K08474
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| Research Institution | Dokkyo Medical University |
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Principal Investigator |
北沢 祐介 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00467581)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ドナー特異的輸血 / ドナー特異的抗体 / 抗体産生応答 / 細胞増殖 / サイミジンアナログ / フェノタイプ解析 / 多重免疫染色 / 細胞間相互作用 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
[初年度の目標]①DST処置後の宿主の脾臓においてドナーMHCⅠ特異的IgM抗体が産生されること。②ドナー血のどの分画がDST効果をもつかを明らかにすることである。
[方法] ①DST処置後の宿主ラットの血清中において、産生されたドナーMHCⅠ特異的IgM抗体をドナーT細胞（MHCⅠ陽性細胞）と蛍光標識した抗ラット抗体によるサンドイッチ法を用いて染色し、フローサイトメトリー（FCM）にてドナーMHCⅠ特異的IgM抗体の抗体価を測定した。さらに、脾臓依存性については脾摘したラットに同様のDST処置を行い、抗体価を比較した。②ドナー血液成分による解析については、各分画に分離・精製し、DST中の各成分量と同等量を投与し、経時的に宿主脾臓を採取し多重免疫染色による免疫組織学的検索とFCMを用いて免疫応答に伴う特定の細胞増殖（増殖応答）を解析した。また、採取する１時間前にサイミジンアナログ(EdU,BrdU)を投与し、増殖細胞をラベリングした。
[結果]①DST処置後５日目以降からドナーMHCⅠ特異的IgM抗体が検出され、障害性試験（補体を加えた赤血球溶血反応）においても確認した。また、脾摘したラットではドナー特異的抗体産生の顕著な減少が見られた。②ドナー血液の細胞分画では、白血球、特にT細胞を投与後３・５日目の宿主の脾臓においてT細胞と濾胞B細胞の増殖応答が確認された。
以上、本年度の研究実績により①ドナーMHCⅠ特異的IgM抗体は細胞障害性をもつので、GvH病早期の治療効果が期待できること、②新発見としてドナーT細胞分画がDST効果（免疫応答）に最も有効であることが明らかになった。さらに予想外の知見として、ドナーT細胞が白脾髄T細胞領域のDCにより貪食されることがわかった。これらの知見は次年度におけるDSTによる抗体産生応答のメカニズムの解明への手がかりとなり、ワクチン戦略への可能性を導く意義のある研究であったと言える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ラットモデルにおいて一回の輸血だけでドナー特異的抗体が作られていることが再現され、脾臓依存的であることが明らかになった。それ故、免疫応答の場（２次リンパ器官）を脾臓に絞り込むことができ、ドナー血液の各成分を投与した多数のラット実験群の組織解析が短期間で行えた。解析法については、本申請書でも記載してあるとおり、ほとんどの方法が事前に確立されたものである。特に前回の科研費にて確立した動物組織採取前のEdUとBrdUの混合液投与による増殖細胞のラベリングとラベリングされた特定細胞の検出法を用い、かつ本助成金にて購入したシステム生物顕微鏡により、容易に増殖応答の解析を行うことが可能となり、かなりの情報収集と成果が得られた。研究期間の中で初年度の研究作業が最も多く割り振られていたが、予定通り進捗できたといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
初年度において、DST（ドナーT細胞）によるドナー抗体産生が、主に宿主脾臓で起こることが証明されたことから、次年度では宿主でのアロ抗体産生を導く免疫応答のメカニズム（ドナーT細胞の遊走・分布、宿主DC(樹状細胞)によるファゴサイトーシスとその後の反応）の解析をめざす。また、DSTによる脾臓でのドナー特異的抗体産生とTreg(制御性T細胞)について第１報を論文として報告し、ワクチン戦略への可能性について最終年度につなげていきたいと考えている。
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| Causes of Carryover |
本年度は、研究計画通り問題なく進捗したため、一部未使用の残金が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の未使用金については、次年度の計画にて予備費として消耗品費用に計上することを考えている。
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